メモリーキーパーの娘

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    こんにちは、tamaxです。

     

    今日は『メモリーキーパーの娘』について書きます。

     

    あらすじ

    医師のデヴィッドは産気づいた美人妻ノラから自分の病院で

    自らの手で男女の双子をとりあげる。

    ところがそのうちの女の子はダウン症児だったため、デヴィッドは

    ノラに死産だったとウソをつき、その場にいた看護婦のギルに

    女の子を施設に置いてくるよう指示をする。

    とまどいながら赤ん坊を施設に連れていくギルだったが、その

    施設の惨状に思わず連れて帰ってしまう。

    途方に暮れていたギルを、通りすがりのトラック運ちゃんが助けてくれる。

    その後、デヴィッド夫妻は女の子(フィービー)の葬式をあげ、

    健康な兄ポールと家族三人で暮らす。

    一方ギルはトラック運ちゃんと一緒になり、ダウン症のフィービーを

    育てることにした。

    そのことを知っているデヴィッドは罪悪感と後ろめたさから

    なぜかカメラの趣味に没頭し、家族に対してもどこかよそよそしくなってしまう。

    あんなにお姫様扱いしてくれたダンナが産後急に冷たくなり、

    二人目も作ってくれないことに絶望したノラは自棄のヤンパチになって山ほど不倫をする。

    母親の山ほど不倫を知った息子のポールもやさぐれて家を出ていく。

    やがて一家はバラバラになり、デヴィッドは秘密を抱えたままだったが

    ギルとトラック運転手に愛情たっぷりに育てられたフィービーは

    障害を抱えながらも賢く愛くるしい少女へと成長していた。

     

     

    あらすじだけ見るとデヴィッド人でなしすぎるだろって感じかも

    しれませんが、一応デヴィッドにも言い分がありまして

    実は自分にもダウン症の妹がおり、幼くして死んでしまっていたのです。

    そのことによる両親の悲しみ、ないがしろにされた自分の孤独が

    痛いほどわかるため苦渋の選択をしたのでした。

    ちやほやされて生きてきた妻のノラは、夫の変わりように失望し、

    働きに出たり浮気をしたりして寂しさを紛らわそうとします。

    ノラは別に悪くもなんともないんだけど、アマちゃんなので

    確かにこの人に障害児を育てられただろうかという気がします。

    対照的なのは真面目で地味な看護士のギルです。

    彼女はなかなかの年齢まで独身で恋人もいなかったのですが、

    デヴィッドとノラの娘を引き取ったことで人生が大きく転換します。

    ギルとトラック運転手は娘を可愛がり、つつましくも幸せな家庭を築きます。

     

    要は一見貧乏くじを引かされたようなギルの方が実は幸せで、

    デヴィッドの家庭の方はどんどん崩壊していくというありがちな筋書です。

    それだけだとつまんないなーと思ったんですが、もうひとひねりあったため

    物語に深みが生まれました。

    というのは、実はギルはデヴィッドのことが好きだったらしいんですね。

    なので子供を引き取っただけでなく、デヴィッドたちが執り行った葬式に

    真っ赤なコートを着て行ったり、デヴィッドに娘の写真と手紙を定期的に

    送りつけたりと歪んだ行動もとっていました。

    障害があるとはいえ、好きな男の子供を育てることでつながりを持ち続け

    ようとしたのかもしれません。

    そう考えると、ただただトラック運転手が天使!!

     

    実は映画を観るまで、記憶を留めておける特殊能力を持った女の子の

    話かと思っていましたが、まあ上記のようなお話で、映像も

    世界まる見えの再現ドラマをちょっと力入れたくらいの感じです。

    教訓としては、家族が急にカメラにのめりこみだしたら気をつけろって

    とこでしょうか。

     

     


    苦役列車

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      こんにちは、tamaxです。

       

       

      今日は芥川賞作家西村賢太原作の映画化『苦役列車』に

      ついて書きます。


      本だけは読んどけ。

       

      あらすじ

      父親は性犯罪者、中卒、資格もなければコミュ力もない

      性欲だけは人一倍の19歳・寛多は日雇い労働をしながら

      風呂なしアパートに住み、楽しみは風俗通いと酒と

      古本を読むことだけの底辺生活を送っていた。

      ある日、同じ現場でさわやかな専門学生・日下部と

      親しくなる。好青年でイケメンの日下部と、中の人は

      森山未來だけどもさっとして品がない寛多は対照的だったが

      一緒に帰ったり他愛もない話をしたり、時には飲みに行ったりと

      不思議と仲良くなっていった。

      読書と映画くらいしか趣味のない寛多だったが、古本屋で

      アルバイトする女子学生(マエアツ)にひそかに想いを

      寄せていた。さわやかな日下部の力を借りて、女の子と

      友達になることに成功。日下部と三人でしばし青春のような

      ひと時を過ごすのだが、寛多の片栗粉をまぶしても直らない

      からみにからまった性格と、世の中や他人に悪態をつきまくる

      癖が災いし、ささやかな幸せな日々を自らぶち壊してしまうのだった。

       

       

      『苦役列車』は読んだことはないんですが、西村賢太さんは

      気になる存在です。こちらは西村さんの原点ともいえる

      10代の日雇い労働の日々を描いたものです。

      私自身も学生の頃と社会人になってからも少し、工場などで

      日雇い労働をしていた時期があります。

      大抵、集められた人たちがバスなどにすし詰め状態で

      その日の現場に連れて行かれます。映画の冒頭でも

      そういったシーンがありましたが、その中には日下部みたいな普段は

      普通の学生だったりフリーターで、ちょっと時間ができたから

      社会勉強がてら日雇いに来てみたよって感じの人種もいれば

      ちょっと障害がありそうだったり、家や本人に

      なんかしらの事情があるんだろうなっていうガチ底辺の

      人が一緒くたになっていたものです。

      寛多はもうガチの方。そしてさらに上には上の、30代・40代・50代以上

      でも日雇いで食っていくしかないスーパーリアルの方々がいます。

       

      父親が性犯罪者で中卒というハンディを背負っている寛多の将来は

      スーパーリアルの方でしょう。

      しかし寛多は本人の性格とやってることは最低なのですが、

      酒と風俗しか楽しみのない将来の自分の姿であるスーパーリアル層も、

      また日下部みたいな無邪気なリア充もどちらも見下しているんですね。

      普通の常識的な性格の人ならば、自分のことを棚に上げて他人のことを

      とやかく批判したりバカにしたりはできないものですが、寛多には

      そういうリミッターはないのです。

      そんな寛多だからこそ見える人の真実の姿があり、それを暴くことが

      できるのも寛多みたいな人間なのです。

       

      たとえば、寛多は異性との付き合いは性欲解消としか思っていません。

      その言動は、当たり前に恋人や友人がいる日下部には呆れるものなのですが

      世の中恋だ愛だ絆だと言ってはいるけれども、その下にあるのは

      寛多が思っているものとそう大差はなかったりするのです。

      私は寛多が嫌われるのは、非常識でだらしなくて粗野でいじきたないからでは

      ないと思います。本当のことを言うからです。

      他人が目を瞑って見ないようにしていることを突き付けてくるからです。

       

      寛多がマエアツ演じる古本屋の女学生に対して恋心を抱くのですが

      野生生物である寛多の恋心は、=性欲です。でもそれは本当は当たり前なんです。

      人間だって動物なのですから。マエアツはこんな寛多でも友達としては

      仲良く本の交換なんかをしてくれる稀に見るいい子なのですが、

      激しい性欲(寛多にとっての恋心)を押し付けてくる寛多についにギブアップし、

      去っていってしまいます。

      雨の中無理やり襲おうとしてくる寛多に、最後のやさしさで

      「友達じゃいけない?」と聞くのですが、それに対し寛多は言い放ちます。

      「友達なんかいらない」と。

       

      そしてもう一人、借りた金は返さないは、飲めば下品にからんでくる寛多と

      仲良くしてくれていたこれまたどこまでもやさしい日下部という男。

      なんと自分の彼女を紹介し、その彼女に寛多にも誰か女の子を探して

      やってくれなどと言ってくれる天使みたいな男。

      ところが、その彼女と日下部と寛多が三人で飲んだときに、決定的な

      ことが起こります。

      寛多は日下部の下北大好き編マスコミ志望のサブカル女である日下部彼女と

      そいつと一緒になってうすーい話をしている日下部に対し、最高の毒を吐くのです。

      (このシーンはとにかく爽快でした。)

      このことがきっかけになって、日下部と寛多の関係は終わってしまいます。

      辛抱強く付き合ってくれていた日下部がついに寛多に失望したわけですが

      それよりも先に失望していたのは寛多の方だったと思います。

      所詮、やっぱり、日下部はただの普通の奴だったんです。

      なーんとなく、人生を渡り歩いているつもりなってるけど、死ぬまで

      自分の人生を生きたとは言えない、ただ世の中を漂うだけのつまらない男だったと。

      寛多はド底辺の人間ですが、本を読むことを忘れなかった。

      世の中の上澄みだけ見たような気になるのではなくて、どこもかしこも

      目を凝らして見ているのです。

       

      ただ日下部も彼なりに寛多のことを、どこか好きだったから一緒に

      いてくれたんでしょう。

      二人が後日職場ですれ違ったときに、寛多が「俺たち友達だったよな。

      ありがとう」と声をかけるシーンは泣けましたね。

      厳しい境遇で生きてきた寛多にとって、他人に気を使ったり

      嫌われないようにしたりということはできません。

      これからも彼は世の中に自分のことを棚に上げて世の中に毒づいて

      生きていきます。

      でも最終的に彼(西村賢太)は作家になります。

      思いつくこれまでの有名作家、詩人を挙げてみてください。

      みんな「自分のことを棚に上げられる人」ばっかりですよね。

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       


      フレンチアルプスで起きたこと

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        あけましておめでとうございます。

        今年もよろしくおねがいいたします。

         

        さて、2017年一作目に取り上げるのは

        『フレンチアルプスで起きたこと』です。

        パパはヒーローじゃない

         

        スキー旅行にやってきた裕福そうなスウェーデン人一家。

        美男美女のパパママと、可愛い男の子と女の子の姉弟という

        理想的なファミリー。

        ところがバカンスを満喫中、レストランのテラスで家族が昼食を

        とっていると、人工的に起こしている雪崩が思いのほか大きく

        旅行者たちはみなパニックになる。

        すると父親のトマスが自分のスマホだけひっつかみ、我先に

        家族を置き去りにして逃げてしまった。

        雪崩は実際大したことはなく、逃げる必要はなかったのだが

        「やぁ〜びっくりしたわぁ」とテヘペロしながら何食わぬ顔で

        戻ってきたトマスに、妻のエバと子供たちはドン引き。

        その後も何事もなかったかのように休暇は続くのだが、

        父親の株は大暴落。妻もこのことがきっかけに、頭がおかしく

        なっていく。

         

         

        私はららぽーととかにいる、男の子と女の子の子供を連れて

        コンドームみたいなおそろいのニット帽なんかをかぶった

        人生がすべて順調にいっているような顔した若い夫婦が大嫌い

        なんですが、そんな奴らを涼しい顔して肥溜めに突き落とすような

        痛快な映画でした。

        まずダンナはヘタレです。普段は頼りがいのある父親、イクメンで

        ありながら妻のことも女性として扱うイケダンを演じていますが

        いざ有事となると、自分と自分のスマホが一番大事だったことが

        雪崩をきっかけに露呈します。

        子供たちは純粋にパパ…とショックを受けますが、嫁のショックは

        それ以上で、ショックというよりも自分の夫がかっこよくなかった

        ことへの怒りとくやしさで胸がいっぱい。

        残りのバカンスはこの恨みをはらすことだけに費やすことに決めた

        みたいです。

         

        夫婦は同じリゾートでいろいろな香ばしいカップルと交流するのですが

        彼らの前で何度となく雪崩で逃げた夫のエピソードを披露します。

        その語り方が非常に怖くて、今まで普通に話してたのに同じテンションのまま

        雪崩のエピソードが突然はじまります。

        聞いている方ははじめ自虐的ジョークかな?と半笑いで耳を貸していますが

        嫁の口調の下の静かに燃える狂気と怒りを感じて顔が引きつりはじめます。

        一番うろたえるのは夫のトマスで、あろうことか「いや何言っているんだよ、

        それは認識の違いだよ。オレは逃げたんじゃないよ。逃げたように見せかけて

        逃げてないんだよ」みたいなむちゃくちゃな言い訳をしはじめるのです。

        出た!「認識の違い」。小賢しい人が良く使う口上ですね。

        芸能人もよく言ってる「不快にさせたんだったらそのことはごめんなさい」

        みたいな。

        そんな言い草をする夫をますます許せない完璧主義の妻。

         

        この妻エバは、夫を他人の前で恥をかかせようかかせようとするんですね。

        いろんなカップルの前で夫が逃げた話をくどくど話し、非常に整然とした

        モダンな高級ホテルに滞在しているのですが、夫を部屋着姿で廊下に締め出したりもします。

        恥をかかせることで恨みをはらそうとうする、それはなぜかというと自分も

        恥をかかされたと思っているからです。

        それはもちろん雪崩の起きたテラスで、他にも旅行客がいる前で夫に置き去りにされた。

        その事実もそうですし、そもそも自分の選んだ夫はハズレだったんじゃないかという

        何か大いなる世間体というものへの恥。

        心の狭い妻はやられたことはやり返すのです。

        ところがそこにもまだこの妻の自尊心というものが垣間見え、夫のカッコ悪い話を

        吐露するのは一般的な夫婦などではないのです。

        ワンナイラブ中のゆきずりカップルだったり、年の離れた訳ありカップルだったり。

        つまり、自分と同じようなVERY妻にはけしてこの話はしないわけです。

        なんだかんだ言って「あんたたちよりは私はマシ」と思いたいわけです。

         

        さらにネタバレになりますが、妻はある儀式を行うことでこの問題を

        なかったことにするのです。

        それは自分が一度遭難しかけるという芝居を打ち、ダンナに助けさせることで

        別のデータで上書き保存して解決するというやり方。

        これは夫の名誉回復のためではなく、自分に対する欺瞞ですよね。

        やっぱり私の夫はヒーローってことにしとこうみたいな。

         

        おそらく夫婦というものは雪崩こそ起きなくても、似たようなレベルのことは

        日常茶飯事でしょう。

        雪崩から助けてくれないどころか皿洗いすらしてくれないダンナだって

        多いんですからね。

        それでも自分たちは「幸せな夫婦である」という免許のようなものを

        どうしても死守したい人たちというのはいるわけで。

        そういったやつらを冷淡にズームアウトで眺めたような映画でした。

        実際、こういったときに家族を真っ先に守らなければ男じゃないという

        プレッシャーは男性にとっては重いものでしょう。

        私は借りてきたDVDを、ダンナも興味がありそうだったら一緒に観ることも

        あるので試しにこの映画のあらすじを話したら「遠慮しとく…」と

        言われました。

         

         

         

         

         

         

         

         


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