ROOM

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    あけましておめでとうございます。

     

    今年もできるだけ映画を観て感想をお届けしたいなと思います。

    6月にはニヒル牛にて「tamaxのマズい映画でも無いよりはマシ」展も

    開催します!

     

    さて新年一作目の映画は『ROOM』です。

    そろそろ母子分離。

     

    あらすじ

    小さな部屋で仲良く朝起きてから寝るまで過ごす母親ジョイと

    息子ジャック。天窓からの光で時間を知り、TVの中のつくりものを

    見て、料理をして過ごす日々は穏やかに見えるが、実はこの二人

    何年も外に出ていません。

    二人はオールドニックという男により、小屋の中に監禁され

    飼われていた親子だったのです。

    ジョイは高校生の頃オールドニックに誘拐され、それから7年

    閉じ込められたまま。その間にニックに強姦されてできた子、

    ジャックを出産し一人で部屋の中だけで育ててきました。

    ジャックと二人だけの生活は幸せっちゃ幸せでしたが、

    5歳になったジャックにオールドニックの

    存在を知られ、そろそろ今の生活も潮時と悟ったジョイは決死の

    カーペットコロコロ大作戦でジャックを外の世界に出し、救助される

    ことに成功。自分を探していた両親とも再会し、ジャックとともに

    実家で安心した暮らしを得るはずだったが…

     

     

    私にも3歳の息子がいますが、ワンオペ育児の日は児童館や公園に行かないと

    部屋の中で二人きりなんてとても持て余してしまうのですが、5年間も24時間

    子供と軟禁されているジョイの心境やいかに。

    しかし産まれた時からこの部屋しか知らないジャックにはこの部屋こそがすべてです。

    卵の殻で作ったヘビ、家具までもジャックにとっては貴重な友達です。

    が、ある日突然母親から実はこの壁の向こうにはすんげー広い世界が広がっているんだわ。

    今からそこ行っていっちょ助けを呼んで来い、とハードルの高いはじめてのおつかいを

    頼まれたジャックは泣いて抵抗します。

    自分にはこの世界で充分なのに!

    外の空気すら吸ったことのなかったジャックは奇跡的に助けられ、母親のジョイも

    一緒に安全な場所に確保してもらうことができました。はじめてのおつかい大成功です。

     

    しかしここからがなかなか大変。

    再会できた両親は監禁されている間に離婚し、母親には新しいパートナーがいました。

    父親は娘の生還を心から喜んでいましたが、孫になるジャックの存在をどうしても

    受け入れることができません。

    そこでジョイと父親は衝突し、父親は舞台から退場してしまいます。

    7年の間に失ったものの大きさに戸惑い、病み始めるジョイとは裏腹に

    はじめてみる本当の世界に好奇心を隠せないジャック。

    おばあちゃんであるジョイの母親と、その恋人のおじさん(いい人)のおかげで

    少しずつ心を開き慣れ始めていきます。

    自殺未遂まで起こしたジョイに、ジャックがあるものを渡すことで再び

    ジョイも本当の意味で外に向かっていくようになります。

     

     

    誘拐監禁事件という悲惨な状況を描いたものでありながら、「母子分離」という

    普遍的テーマに置き換えることができる作品です。

    今でこそ夫婦一緒に親になるんだ!父親も母親と同じくらい育児しよう!と

    世の中が動いていて、それはそれで至極当然ではあるのですが、私はやっぱり

    母親と子供の間には父親が入ることのできない問答無用の世界があると

    思っています。

    成熟嚢胞性奇形腫という病気があり、卵巣の中に髪の毛や歯、骨などができてしまう

    のですが、つまり子供は女性の体内工場で作られ体液(母乳)を飲んで育つのです。

    ほぼ自分ですよ、それ。

    ジャックはちょっと長く5歳までお母さんのお腹で育ってしまったようなものなんですね。

    その長い濃厚な関係が「部屋」に象徴されています。

    母子は多かれ少なかれ、そういう時代を経て母子分離していくのです。

    映画の中で、引っかかりを残していくのが、ジョイのお父さんです。

    ジョイのお父さんは最後まで、娘を孕ませた憎い犯人の子であるジャックを直視することが

    できませんでした。

    もっと感動に持って行きたい映画なら、そこを和解させてみたりするかもしれませんが

    あえてそうしないところがいいなと思いました。

    代わりに、ジャックを外の世界に誘い出してくれたのは、おばあちゃんの恋人のおじさんでした。

    でも彼にそれができたのは、他人だったからです。

    はじめての「本当の友達」になる近所の男の子もそう。

    ジャックを濃い〜母子の世界から連れ出してくれるのはいつも他人でした。

     

    ラストがとてもいいです。

    ジャックは再び、母子が閉じ込められていたあの部屋に戻ってみるのです。

    忌まわしい場所、忘れてしまいたい場所である「部屋」。

    でもジャックにとっては母親の胎内のような場所でもあったのです。

    「さようなら、イス1。さようなら、天窓」

    かつて友達だったそれらにお別れを言い、産まれ直しを行います。

     

    もうすぐ4歳になる息子が最近「ママのこういうところが嫌だから直してほしい」と

    はっきり言うようになり、あ、もう無条件でママが好き!という時代は終わろうと

    しているんだ、そろそろ分離も近いなと感じているときに

    非常にシンパシックな映画でした。

     

     

     

     

     

     


    渇き。

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      久しぶりにマズい映画を観ました。

       

      水飲んで一旦おちつこう。

       

      あらすじ

      元刑事でバツイチの藤島(役所)は、優等生だった娘の加奈子(小松)が

      いなくなったと元嫁に言われ、探し始める。

      美少女で性格もいい完璧娘だった加奈子だが、中学時代のヤンキー同級生や

      現在の生意気な友達に恫喝紛いの取材をしていくと、加奈子が相当あかんやつ

      だったことがわかってくる。

      一方、加奈子がいなくなる前、いじめられっ子の少年は時々アニメになったりしながら

      優しくしてくれた加奈子に夢中になり、加奈子も受け入れてくれたかのように見えた。

      しかし、加奈子は実は鬼畜娘なのでその少年、はたまた加奈子に魅入られたすべての

      子供・大人・その他諸々を地獄に陥れていくのであった。

       

       

      流行りの要素をすべて詰め込んだような、落ち着かない映画です。

      そろそろこの邦画二文字系タイトルはやめませんかね。

      似たようなのがありすぎてどれがどれだか分からなくなります。

      そのうえ「。」までつけちゃって、モーニング娘。の時代で終わったかと

      思いました。

      中身もそうで、途中アニメーションや独白を入れたりだとか、残忍なシーンに

      ポップな音楽をつけたりだとか、アップばかりで全体を映さないインスタ手法。

      とにかくなんでもやってみたいんですね。

       

      俳優陣も豪華すぎるんです。ヒロインの小松菜奈はこれを機に有名になりましたが

      そのほかに橋本愛もいる、二階堂ふみもいる、中谷美紀もいる、國村隼も、

      オダギリジョーも、妻夫木もいる。

      この作品の駒だけであと3作くらいはできそうです。

       

      お話は無駄に複雑で、暴力団とか覚せい剤とか売春組織とか出てくると私はなぜか

      引いてくるんですけど、基本的にはシンプルです。

      加奈子が天使のような悪魔で、周りを無茶苦茶にしていた。それだけ。

      ただ加奈子をそんな風にした原因はどっちかっつーと父である役所にあったという

      感じです。

      出てくるガキがみんなもう手に負えない悪い奴ばっかりなんですが、どこの地域ですか?

      あとサイコパスが多すぎです。最近なにかっつーとサイコパスですけど、役所広司の

      元部下でいつもチュッパチャップス舐めてヘラヘラしている現役刑事の妻夫木や、

      なんかヤクザの爺さんのもとで殺し屋をやってたオダギリジョーなど、

      やばい奴が多すぎるんですね。

      とくに妻夫木。出た!窪塚系やばい奴はヘラヘラして甘いもの食べながら平気で

      残酷なことをするというプロトタイプ。

      池袋ウエストゲートパークの時代で終わったかと思っていました。

      しかも味付けが過剰なものだから、全然こわくなくてコメディみたいです。

      過剰に、過剰にやるものだからこわくないんです。

       

      せっかく「加奈子」というモンスターを際立たせたいんだろうに、周りも全部

      おかしい奴にしてるもんだから渋谷のハロウィンくらい目立たなくなってしまうんですよ。

      すぐパンパン拳銃うつし、大人も子供もグチャグチャ死にますけど、そういう

      場面よりも、最初の方でいじめられっ子の僕が学校でプールに落とされたり

      女子に「キモーい」とか言われてるシーンの方がつらかったですね。

      もし自分の子供がこんな風につらい目にあったり、あわせたりするようになったら

      どうしようという。

       

      こんな話あるわけないだろ、とずっと引いて観ていましたけど、実際渋谷のハロウィンで

      バカ騒ぎをするバカにも一人一人親がいるんだよなと思うと切なくなりますね。

      あと役所広司が三歩歩けば暴力団にボコられて血まみれの毎日なんですけど、それなのに

      いつも白やベージュのスーツを着ていて、また一からそれが汚れて、役所広司の

      行きつけのクリーニング屋は大変だなとかそんなことばかり気になる作品でした。

       

      時間がない方は特に一生観なくていいやつです。


      天才スピヴェット

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        こんにちは、tamaxです。

         

        今回は家にあったDVDから、ジャン=ピエール・ジュネ監督

        『天才スピヴェット』について書きます。

         

        似てない者たち

         

        あらすじ

        アメリカの田舎町に家族と暮らすスピヴェットは10歳の少年。

        双子の弟と年頃の姉、農家の父と昆虫研究者の母の5人。

        父はカウボーイマニア、母は家族より虫に夢中。

        姉は芸能界を夢見るスイーツ脳。双子の弟は父の真似をして

        狩りや木登りが大好きな元気な男の子。

        そしてT.S.スピヴェット(以下スピヴェット)は物理の天才であった。

        日々実験に明け暮れ、大人のふりをして書いた論文がサイエンス誌に

        掲載されたりする本物の天才少年だったが田舎町では変わり者

        扱いされるだけだった。

        そして弟が不幸な事故により死んでしまってから

        家庭の中にも居場所を見失ったスピヴェットは、ある学会から

        大きな賞をもらったことを機に、一人でこっそり貨物列車に

        無賃乗車してワシントンを目指すことにした。

         

         

        ジュネ監督といえばパリ〜♪シャンゼリゼ〜 モンマルトール♪というイメージですが

        今回はアメリカもアメリカ、どアメリカなモンタナの田舎が舞台です。

        お父さんは身も心もどっぷりカウボーイになりきっているおじさん。

        子供なのに難しいこと言って研究ばっかりしているスピヴェットのことは

        可愛がらず、男の子らしい子供である弟を愛していた。

        弟とスピヴェットは二卵性の双子なので見た目も中身もまるで正反対。

        ただふたりはだから仲が悪いかというとそうではなく、違いながらも

        いつも一緒に遊んでいた。

        弟は猟銃で物を撃ち、その銃声をスピヴェットが記録に取るという、

        趣味が違う二人が遊んでいた方法で不幸にも弟が亡くなってしまう。

        家は光を失い、父も母も自分にかまってくれないし、姉はミーハーだし

        学校の先生からは頭が良すぎて煙たがられるしで、寂しい思いを

        していたところに、ワシントンの学会から受賞の連絡。

        スピヴェットはトランクに自分の七つ道具(鳥の骨とか)を詰め込んで

        旅に出ますが、受賞はきっかけにすぎず、家出に近い形です。

         

         

        スピヴェットは家族、とくに父親から愛されていないことを気に病んでいて

        自分が弟の代わりに死ぬべきだったとまで思っています。

        お父さんが愛用の帽子を弟にかぶせてあげたのを見たスピヴェットは

        「自分には永遠に手にできない栄光だ」と心の中で言っています。

        大人の目線で見るとちゃんとお父さんはスピヴェットのことも愛しているのが

        わかるのですが、なんせ自分は馬の乗り方とか教えてあげたいのに

        一日中グラフとか数式とかとにらめっこしている息子の接し方がわからないのです。

        お母さんもかなり変わった人で、変わったお母さんをやらせたら右に出るものなしの

        ヘレナ・ボナムカーターが演じているんですがやはり一般的な優しいママではないのです。

        そもそもカウボーイのお父さんと昆虫オタクのお母さんがどうやって結婚に

        至ったんでしょうね。

        実はお母さん自身も夫がスピヴェットを愛していないのではないか、それは

        私に似ているからで、私のことも愛していないんではないかと日記に書くくらい

        悩んでいたんですね。

        その日記を貨物列車の中で読んだスピヴェットは「そんなことないよ!愛し合ってるから

        結婚したんだろ!」とショックで叫びます。

        ところがこれも大人になると分かるんですが、夫婦ってのは他人ですから

        ときにミスマッチすることもあるんですね。

        ただ子供から見れば両親は最初からペアになってるわけですから、ミスマッチしてる

        なんて信じたくないわけです。

         

         

        貨物列車に無賃乗車の旅をしながらいろんな風変わりな人たちに出会うスピヴェット。

        時々死んだ弟の幽霊が現れ助言してくれたりもします。

        泣けるのはチビでやせっぽちのスピヴェットが、ちゃんとアドベンチャーをする

        とこです。結構ひどい負傷をしたりもするんですが、この旅で身も心もちゃんと

        成長していきます。家から持ってきて壊れてしまったコンパスや鳥の骨を捨てたりもします。

        壊れたコンパスっていうのは、役に立たなくなった知識の象徴ですね。

        途中出会うルンペンのおじさんや一見サイコキラーみたいなトラックの運ちゃんも

        いい出汁が出ています。

        そうこうしてスピヴェットは自分にふさわしい場所、受け入れてくれる場所、

        ワシントンの学会に到着するのですが、そこで待っていたのはあたたかいものでは

        ありませんでした。

        だけどそこで、冷たかった母ちゃんが、父ちゃんが、力づくでスピヴェットを

        奪い返しに来てくれるんですよー!

        私は完全にスピヴェットの気持ちになってたもんでめちゃくちゃ報われましたね。

        人は贅沢なもので「あなたがこういう人間だから」という理由でも必要とされたいし

        「あなたがどういう人間でも」必要としてくれる存在も一方で必要なんですよね。

         

         

        これを観てほんとに家族って不思議だなと思うのは、同じ親から産まれたきょうだいでも

        全く似ていないこともあって、趣味や価値観で繋がれる他人と一緒にいたほうが

        よっぽどいいようなことも往々にしてあるじゃないですか。

        親子でも自分の子供や親が全く人として理解できないってこともよくあります。

        それでも、家族には家族の、言葉や理由はいらない存在価値っていうのがあって、

        この映画では、スピヴェットの理解されない天才の苦悩というより、

        「似てない人間たちがどうやって一緒に暮らしていくか」みたいなテーマに心を揺さぶられましたね。

        劇中で、お母さんがトースターを何台も何台も壊してしまうという謎のエピソードが

        あるんですが、何台買っても必ずトースターが壊れる。でもお母さんは朝食に

        パンを焼くことをやめないんですね。何台でもトースターを買い替える。

        家族というのもそれと同じなのかなと思いました。

         

         

        他人だったら関係が壊れてしまえばどんなに気が合っててもそれまで。

        でも家族は違います。スピヴェットの家族たちは恐らくこの先も本当に彼のことを

        理解することは難しいかもしれません。

        でも、ああまたトースター壊れたか。そんな感じで家族は続いていくのです。

        ミーハーな姉もなんだかんだ言って弟を可愛がっているし、ケンカばっかり

        している両親がちゃっかりまた子供を作っているところも笑いました。

        人間の遺伝子は近親相姦を避け強い種を残すためDNAの遠いもの同士が

        惹かれるようにできているということも研究結果で出ているそうです。

        神様はあえて似てない者同士をくっつけようとしているんですね。

        一体どういうつもりなんでしょうか。

         

         

         


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