イットフォローズ

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    こんにちは、tamaxです。

     

    今回は低予算でヒットしたホラー『イットフォローズ』について

    書きます。

    憑いてますよ。

     

    あらすじ

    ちょいビッチな女子大生ジェイは、イケメンのマッチョ系彼氏と

    付き合い始めウキウキの日々。

    ところがカーの中で結ばれると彼の態度が豹変。

    これから何かがついてくるようになる。

    それはゆっくり歩いてくるが、必ず追いつかれ殺される。

    回避するには誰かと寝てうつすしかない。

    という趣旨のことを伝えられるがジェイにはなにがなにやら。

    新手のやり逃げかしらと思っていると、その日からジェイには

    他の人には見えない「何者か」が迫ってくるようになる。

     

     

    レンタルビデオ屋であと何か1本借りたいけどぱっと思いつかない

    というとき、大体ちょっとエロいのか怖いのでお茶を濁す経験ありますよね。

    この作品はその両方の要素があるので迷ったとき借りるナンバーワンでしょう。

    ですが期待するほど全然エロくもないし、怖いのかどうかもよくわからない

    話でした。

    でもとても斬新で個性的な作品だなと思います。

    ジェイは金髪でいかにもな量産型のギャルなのですが、どうやら家庭に事情が

    あるらしく中身はそれほど軽い子ではないようなのです。

    ジェイに何かが憑いてしまってから、妹と幼馴染の青年ポールと友人たちに

    助けてもらうのですが幼馴染のポールはずっとジェイのことを好きなのです。

    ポールはジェイとは対照的に地味で真面目そうな、イケてないタイプです。

    (実際はすごくかっこいい俳優さんですが)

    そんなポールがずっと思いを寄せているくらいですから、ジェイも根はいい子

    なんだと思います。

    ジェイはポールのことを信頼していますが恋愛対象の眼中には全然ない感じ。

     

    遊び人のイケメンとばかり付き合ってきたために、変な憑き物をうつされて

    しまうのですが、性病ではなく「イット(それ)」でした。

    それは時には老婆だったり時にはおっさんだったり、時には知っている人間の

    姿に形を変えたりしてどこからでもやってきます。

    ホラー映画のオバケというのは、貞子みたいに個性が際立っていることが多い

    ですがこの映画のそれは定まった形がないのです。

    普通の人に紛れているところが怖いです。

    実際、ジェイにそれをうつした彼はうつした後も怯えていて背のすごく高い

    女の子が歩いてきたら「おい!みんなには彼女が見えるか?!」と失礼な

    ことを言っていました。

    また、その人にとって所縁のある人物の姿をしていることもあり、なぜか

    出てこないジェイの父親(死別か離婚しているか)の姿が全裸で屋根の

    上に見えたこともありました。

    トラウマを持っている相手のニセモノが現れるというところが惑星ソラリス

    ぽさもあります。

     

    ジェイたちは逃げ惑うのですが、最終的にはジェイのことを一途に想う

    幼馴染のポールのクレバーかつ勇敢な方法でそれを退治できました。

    そしてポールは念願かなってジェイと恋人同士になれたのですが、

    二人の表情はまだ晴れず、手をつないで歩く二人の後ろを「なにか」が

    ついてくるシーンで終わります。

     

    この映画にはいろんな解釈がされているようですが、私にはずばり

    「性行為」というものを考えさせるものではないかと思いました。

    そのまんま!

    性行為によってやなことが起きるなら、本当に自分にとって大事な人には

    できないですよね。だからジェイも遊び人の元カレや海にいたパリピ男には

    積極的にうつしにいくのですが、ポールには拒んでいました。

    ポールはぜひ自分にうつしてほしい!と志願してくるのですが。

    でも現実にもそんなによく知らない人の方が性行為は盛り上がり、夫婦とか

    近しい人間になればなるほどなくなっていきますよね。

    恋愛の情熱もまた、「それ」が少しずつですが確実に近づいてくるように

    だんだんと死に向かっていくものです。

    ジェイとポールの二人はその関係を乗り越えたわけですが、そこに真実の

    愛を育てていくこととができるかが「それ」から逃げのびる唯一の方法という

    気がしました。

     

    それにしてもイケてない扱いのポール役のキーア・ギルクリストという

    俳優さんが若いときの三上博史さん似で普通にむちゃくちゃかっこ

    よかったのですが、イケてない役を演じることが多い方のようです。

    ポールに幸あれ。

     

     

     

     


    さざなみ

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      こんにちは、tamaxです。

       

      今日はシャーロット・ランプリングの『さざなみ』に

      ついて書きます。

       

      あんたどこ見てんのよ。

       

      あらすじ

      ジェフとケイトは45年連れ添った夫婦。

      子供はいないが、知的な会話を絶やさない仲睦まじい二人であった。

      結婚45周年パーティーの大詰めのときに、夫ジェフのもとに

      一通の手紙が届く。50年前の元カノ・カチャの遺体が

      雪山の中から見つかったというのだ。

      日立の急速冷凍庫のような環境で50年間鮮度を保たれた

      元カノの死体はまるで眠っているかのようだという。

      その死体の存在に完全に心を奪われた夫ジェフは

      冷たく見守るケイトをよそにだんだんと寝言をぼやくようになる。

      そして二人が築き上げてきた45年は、ゆっくりと解凍され

      流れ出していくのであった。

       

      無表情で三白眼、独特の威圧感をもつシャーロット・ランプリングが

      妻です。若い頃はそれはそれは美しかったですね。

      こんなに怒らすと怖そうな妻を、無邪気にキレさせていく鈍感夫に

      ハラハラします。

      ことの発端は一通の手紙が夫宛に届きます。デッド元カノフレッシュ情報です。

      それが夫婦の45周年パーティーの6日前。

      映画はその日からパーティー当日までの6日間だけを描いていますが、その

      短い間に夫がどんどんやらかしていくのです。

      しかし滑り台のように下降していくのではないのですよ。

      妻の方は夫の様子がおかしくなっても一生懸命軌道修正を図ろうともするのです。

      でもそのたびに夫がなんかやらかす。

       

      妻の方は差し迫ったパーティーの準備に追われているのに、夫の心は

      50年前に元カノと行った雪山へタイムスリップ。

      屋根裏の物置にこもって思い出に浸ったり、町をうろついたりしはじめます。

      妻も妻で、余裕を見せたいのでしょうか。夫の寝言に付き合って、いろいろ

      彼女のこと聞き出したりしてしまいます。

      いじらしいなと思ったのは、「カチャはブルネットだった?私みたいな…

      いや今じゃないよ?昔の髪の色ね」とかなんとか言うところ。

      自分が張り合っている相手が50歳も若いのですからね。

      いろいろ聞き出した挙句、妻は安心したいがために愚問を投げかけて

      しまいます。

      「ねえ、もしカチャが死んでなかったら彼女と結婚してた?」

      そんなたらればを言っても仕方がないとはわかっていても、一言いって

      ほしかった。「君を選んだよ」と。

      ところが夫は本当にバカ正直と言うかなんというか愚答を返してしまうのです。

      「うーん、そうなんじゃない?(だって彼女が死ななきゃ君にも会わないからねぇ)」

      カッチーーーン!

      効果音なんてないはずなのに聞こえるシャーロット・ランプリングの心の音。

       

       

      こうなると最早、徹底的に追及しはじめてしまいますね。

      夫のいない間に隠れ家である屋根裏に上り、カチャの写真を見てしまいます。

      なんとそこにはお腹の大きいなカチャの姿が。これが最後の決定打でした。

      なぜなら夫婦の間には子供はいません。くわしいことはわかりませんが

      もしかしたら夫が子供を強くは望まなかったのかもしれません。

      とにかくカチャが妊娠していたことを知って、積み上げてきた45年間の

      二人の信頼は崩れ落ちました。簡単なものです。

      もういいじゃない、45年も経ってるんだからと若い人は思うかもしれません。

      でも月日がたてばたつほど、責任というのは重くなるんじゃないかと思うのです。

      若ければまだいくらでもやり直せる。けど自分のいい時期をこの人に賭けて

      捧げてきたのにそれが間違いだったとわかったら。

      よく老夫婦になってから、あの時隣の奥さんと浮気してたんじゃないかとか

      痴話げんかで揉めるっていう話があるじゃないですか。それそれ。

       

      結婚すると相手のことを「腐らない冷蔵庫」だと思っている人多いですよね。

      この映画の夫はそうです。悪気ないし、妻のことももちろん愛しているんだけど

      何をしても言っても大丈夫だと思っている。

      長く連れ添えば連れ添うほど、地雷を踏んだらサヨウナラだということを

      思い知らされるこわーい映画です。

       

       

       

       

       


      何者

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        こんにちは、tamaxです。

         

        今日は朝井リョウ原作の『何者』について書きます。

        就活戦線異状あり

         

        あらすじ

        就職活動真っただ中のタクト(佐藤健)とコウタロウ(菅田将暉)。

        タクトは打ち込んでいた演劇をやめたり、コウタロウはバンド活動を

        休止して髪を黒く染めて日々面接や試験を繰り返していた。

        コウタロウの元カノ・ミヅキ(有村架純)は就活を通して知り合った

        リカ(二階堂ふみ)とリカが同棲している彼氏(岡田将生)の部屋に

        タクトとコウタロウを招き入れ、メンバーはそこを「就活秘密基地」にした。

        あと一人だけ神様目線のタクトの先輩・山田孝之もいたけどあまり出てこない。

        とにかく真面目にひたむきなミヅキ、帰国子女で意識高すぎリカ、

        ナチュラルボーンリア充のコウタロウ、取り立てて特徴のないタクト。

        それぞれが違う分野で就活を進める中、秘密基地に集まっては情報交換する

        なんやら楽しそう。

        ところが地味なリカが真っ先に大手の内定を取ったことからバランスが

        崩れ始める。

         

         

        私は就職氷河期世代でほんっとに就職活動はつらかったのですが、この

        映画に出てくる若者たちは「よりいいところに受かりたい」という

        気持ちなところが我々の頃とちょっと違うなと思いました。

        就職氷河期世代は、就職できただけで勝ち組なのでとにかく

        どこでもいいから引っかかりたいという子が多かったです。

        この映画の若者たちは、恐らくMARCHくらいの大学生なので

        選ばなければどっかには入れるんだと思います。

        でも、できるだけ友達に自慢できるようないいところに受かりたい。

        そのために必死になんですが、なるべく必死なところも悟られないよう

        スマートに就職活動しているように見せています。

        一番意識が高いリカを筆頭に「みんなで情報収集して一緒に勝ち抜こ!

        自分高めていこ!」ってエイエイオー!ってめちゃくちゃポジティブに

        はじまるわけなんですが、当然そんな気持ち悪いノリは崩れてきます。

         

        イマドキの、自分を高めて気づきやフィードバックやPDCAしている

        就職活動とは一線を画し、昔ながらのがむしゃら活動をしていたのは

        ミヅキ。というのも彼女は複雑な家庭の事情でしっかりした会社に

        入って早く自立したいという危機感があったからです。

        その努力の甲斐あって、よくわからない回り道をしている友達より

        いち早く大手企業に内定をもらいます。

        続きまして今度は、一番遅くに就職戦線に乗ってきたモテ男の

        コウタロウ。こいつは菅田将暉くんが演じているんですけど

        生まれ持っての人たらしで要領がいい。

        バンドでもかなり人気があって、就職のためやめてしまいましたけど

        彼は何をやらせてもそこそこできてしまうタイプの人間なので

        あまり苦労なく評判のいい中堅どころの出版社に内定をもらいます。

        いますね、こういう葛藤の一切ない人。

        ちなみにミヅキとコウタロウは元恋人で、ミヅキの方はいまだ

        コウタロウに未練があります。

         

         

        ミヅキとコウタロウが着実に内定をもらってから、余裕ぶっこき丸に

        見せていたリカとタクトがおかしくなってきます。

        この辺からおもしろくなってきました。

        留学経験があってなんだかよくわからんけどNPOだのボランティアだの

        なんやかんややってきたのか自信満々女だった二階堂ふみは

        常に気づきやポジティブな波動を感じているはずだったのに、

        こっそりミヅキが内定した会社の悪い評判をググっていました。

        それをコウタロウに見つかってしまい逆ギレ。

        コウタロウの秘密を暴いてしまいます。

         

        まあここがビックリネタバレというところなんでしょうが、

        タクトはtwitterの裏アカウントを使って周囲の人間を

        ネタにして嘲笑っていました。

        ところがどっこい、そのアカウントは裏どころか超表で

        ネタにされている周りのみんなが見ていて、逆にタクトを

        つめたく見守っていたというオチ。

        それだけではなく、実はタクトだけは「就活2年生」だったのです。

        1年目では決まらず、留年や留学をしてきた他のメンバーと

        足並みがそろってしまっていたのです。

        いわば「就活のプロ(決まらないから)」になってしまったタクトは

        受かり方がわからない状態に陥っていたのです。

         

        そのことがはっきりした瞬間、うわぁぁぁぁぁん!とリカの家を

        飛び出すタクトが滑稽に描かれていました。

        この映画は「胸を抉る就活ホラー」と称されていますが、私は

        風刺コメディのような感じで観ました。

        というのも、私には佐藤健演じるタクトのどこが悪いのかわからない。

        イタい奴は陰で笑われて当たり前!私は一応芸術専攻だったので

        大学1、2年の頃からリカみたいな就職を意識した制作活動を

        している奴らや、面接みたいな課題の発表する奴らをバカにするのは

        当たり前でした。

        日本の就職活動は本当にクソだと思っているので、そんなクソなこと

        2年もやらされてるタクトがおかしくなるのは無理もないです。

        匿名でtwitterで毒づいていたのも、そもそもtwitterをリアルと同じ

        気の使い方をしなきゃいけないというのがそもそもおかしい。

        twitterでは本当の自分じゃなくてもいいし、言っていることも

        真実と限らなくて全然いいと思いますよ。

        ていうかtwitterでしか悪口言わないなんてめちゃいい人じゃないですか。

         

         

        最終的に就活のために自分のやってきたこと(演劇)をなかったことに

        していたタクトは、改めて演劇をやってきた自分を表に出すことで内定を

        勝ち取りそうな感じになります。

        気の毒なタクトには本当に内定出てほしいです。根はいい子なんだから。

        自分を偽っていても就職はうまくいかないかもしれませんが、自分のやってきた

        パラパラマンガを前面に出した途端、最終面接で2回落ちたことのある私には

        もう就活なんてクソ!としか言いようがありません。

         

         


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