何者

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    こんにちは、tamaxです。

     

    今日は朝井リョウ原作の『何者』について書きます。

    就活戦線異状あり

     

    あらすじ

    就職活動真っただ中のタクト(佐藤健)とコウタロウ(菅田将暉)。

    タクトは打ち込んでいた演劇をやめたり、コウタロウはバンド活動を

    休止して髪を黒く染めて日々面接や試験を繰り返していた。

    コウタロウの元カノ・ミヅキ(有村架純)は就活を通して知り合った

    リカ(二階堂ふみ)とリカが同棲している彼氏(岡田将生)の部屋に

    タクトとコウタロウを招き入れ、メンバーはそこを「就活秘密基地」にした。

    あと一人だけ神様目線のタクトの先輩・山田孝之もいたけどあまり出てこない。

    とにかく真面目にひたむきなミヅキ、帰国子女で意識高すぎリカ、

    ナチュラルボーンリア充のコウタロウ、取り立てて特徴のないタクト。

    それぞれが違う分野で就活を進める中、秘密基地に集まっては情報交換する

    なんやら楽しそう。

    ところが地味なリカが真っ先に大手の内定を取ったことからバランスが

    崩れ始める。

     

     

    私は就職氷河期世代でほんっとに就職活動はつらかったのですが、この

    映画に出てくる若者たちは「よりいいところに受かりたい」という

    気持ちなところが我々の頃とちょっと違うなと思いました。

    就職氷河期世代は、就職できただけで勝ち組なのでとにかく

    どこでもいいから引っかかりたいという子が多かったです。

    この映画の若者たちは、恐らくMARCHくらいの大学生なので

    選ばなければどっかには入れるんだと思います。

    でも、できるだけ友達に自慢できるようないいところに受かりたい。

    そのために必死になんですが、なるべく必死なところも悟られないよう

    スマートに就職活動しているように見せています。

    一番意識が高いリカを筆頭に「みんなで情報収集して一緒に勝ち抜こ!

    自分高めていこ!」ってエイエイオー!ってめちゃくちゃポジティブに

    はじまるわけなんですが、当然そんな気持ち悪いノリは崩れてきます。

     

    イマドキの、自分を高めて気づきやフィードバックやPDCAしている

    就職活動とは一線を画し、昔ながらのがむしゃら活動をしていたのは

    ミヅキ。というのも彼女は複雑な家庭の事情でしっかりした会社に

    入って早く自立したいという危機感があったからです。

    その努力の甲斐あって、よくわからない回り道をしている友達より

    いち早く大手企業に内定をもらいます。

    続きまして今度は、一番遅くに就職戦線に乗ってきたモテ男の

    コウタロウ。こいつは菅田将暉くんが演じているんですけど

    生まれ持っての人たらしで要領がいい。

    バンドでもかなり人気があって、就職のためやめてしまいましたけど

    彼は何をやらせてもそこそこできてしまうタイプの人間なので

    あまり苦労なく評判のいい中堅どころの出版社に内定をもらいます。

    いますね、こういう葛藤の一切ない人。

    ちなみにミヅキとコウタロウは元恋人で、ミヅキの方はいまだ

    コウタロウに未練があります。

     

     

    ミヅキとコウタロウが着実に内定をもらってから、余裕ぶっこき丸に

    見せていたリカとタクトがおかしくなってきます。

    この辺からおもしろくなってきました。

    留学経験があってなんだかよくわからんけどNPOだのボランティアだの

    なんやかんややってきたのか自信満々女だった二階堂ふみは

    常に気づきやポジティブな波動を感じているはずだったのに、

    こっそりミヅキが内定した会社の悪い評判をググっていました。

    それをコウタロウに見つかってしまい逆ギレ。

    コウタロウの秘密を暴いてしまいます。

     

    まあここがビックリネタバレというところなんでしょうが、

    タクトはtwitterの裏アカウントを使って周囲の人間を

    ネタにして嘲笑っていました。

    ところがどっこい、そのアカウントは裏どころか超表で

    ネタにされている周りのみんなが見ていて、逆にタクトを

    つめたく見守っていたというオチ。

    それだけではなく、実はタクトだけは「就活2年生」だったのです。

    1年目では決まらず、留年や留学をしてきた他のメンバーと

    足並みがそろってしまっていたのです。

    いわば「就活のプロ(決まらないから)」になってしまったタクトは

    受かり方がわからない状態に陥っていたのです。

     

    そのことがはっきりした瞬間、うわぁぁぁぁぁん!とリカの家を

    飛び出すタクトが滑稽に描かれていました。

    この映画は「胸を抉る就活ホラー」と称されていますが、私は

    風刺コメディのような感じで観ました。

    というのも、私には佐藤健演じるタクトのどこが悪いのかわからない。

    イタい奴は陰で笑われて当たり前!私は一応芸術専攻だったので

    大学1、2年の頃からリカみたいな就職を意識した制作活動を

    している奴らや、面接みたいな課題の発表する奴らをバカにするのは

    当たり前でした。

    日本の就職活動は本当にクソだと思っているので、そんなクソなこと

    2年もやらされてるタクトがおかしくなるのは無理もないです。

    匿名でtwitterで毒づいていたのも、そもそもtwitterをリアルと同じ

    気の使い方をしなきゃいけないというのがそもそもおかしい。

    twitterでは本当の自分じゃなくてもいいし、言っていることも

    真実と限らなくて全然いいと思いますよ。

    ていうかtwitterでしか悪口言わないなんてめちゃいい人じゃないですか。

     

     

    最終的に就活のために自分のやってきたこと(演劇)をなかったことに

    していたタクトは、改めて演劇をやってきた自分を表に出すことで内定を

    勝ち取りそうな感じになります。

    気の毒なタクトには本当に内定出てほしいです。根はいい子なんだから。

    自分を偽っていても就職はうまくいかないかもしれませんが、自分のやってきた

    パラパラマンガを前面に出した途端、最終面接で2回落ちたことのある私には

    もう就活なんてクソ!としか言いようがありません。

     

     


    空気人形

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      こんにちは、tamaxです。

       

      今日はカンヌ是枝監督のちょっと変わった作品

      『空気人形』について書きます。

      心持ちました。

       

      あらすじ

      ファミレス店員の男(板尾創路)のラブドールとして

      自宅で可愛がられていたのぞみ(ペ・ドゥナ)は、ある日

      突然覚醒し、人間のような意識が芽生える。

      ワーキングプアの板尾が働いているあいだ、メイド服を着て

      外を出歩くようになる。

      目に映るすべてが新鮮、のぞみが見た世界は美しくそれでいて

      醜悪でもあった。

      どういう経緯でか家の近くのレンタルビデオ店でアルバイトする

      ことになったのぞみは、同じアルバイトの青年(ARATA)に

      恋心を抱くようになる。

       

       

      原作は業田良家さんの漫画です。大学生の頃に読みました。

      映画では漫画とはまったく別物の空気感を作り出しています。

      佃あたりが舞台なのでしょうか。高層ビルや高級マンションと

      古くてパンチの効いた低所得層の住む家々との対比がファンタジック。

      板尾創路は中年とも呼べる年齢にも関わらずファミレスの

      アルバイト店員。日頃の鬱積した思いを、ラブドールを「オレの嫁」として

      扱うことで癒している(ヤバい)男です。

      そんな彼の日頃の愛情の賜物か、人形は心を持ち自分でしゃべったり

      動いたりすることができるようになります。

      ところが哀しいかな、「持ち主を好きになる」という設定は

      できていなかったようでレンタルビデオ店で働くマウントレーニア男

      ARATAに一目ぼれしてしまいます。

      少女のように純粋なのぞみは、持ち前の奉仕精神で町のいろいろな

      人たちとも関わるようになります。

      が、どいつもこいつも闇を抱えているというかなんというか、だれがいつ

      ニュースになってもおかしくない状態です。

      のぞみは自分の中身が空気でからっぽであることを引け目に感じていますが

      現代に生きる我々はみな心に空虚さを抱えていて、持たざる何かを

      別の何かで埋めようとしています。

      その根底には「さみしさ」があるようです。

       

      空気人形のぞみは心を持ったことで持ち主の板尾がイヤになっちゃって

      夜の相手もビジネス感がすごいのですが、板尾は嫁が日中で歩いては

      違う男に胸キュンしているなんてつゆ知らず。

      夜の公園にのぞみを連れ出して一緒に星を見たります。

      いや、外出したらマズいって!!

      私はこの段階では板尾って純愛じゃん。ぽっと出のARATAより板尾と

      相思相愛になればいいんじゃないの??と思って観ていました。

      ところが、のぞみがついに自宅に戻らなくなり、紛失したと思った

      板尾はバージョンアップしたよりリアルなラブドールをお迎えして

      しまうのです。

      それを知ってショックを受けるのぞみ。なんと板尾の前に姿を

      現し詰め寄ります。

      面食らった板尾は「もう、怖いし面倒だから、人形に戻ってくれ!」と。

      結局板尾はのぞみが人形だから愛したのであって、生身の女性と

      向き合うことはできない人間なのでした。

       

       

      持ち主に捨てられ、自由を手に入れたのぞみはついに想い人ARATAと

      交際をはじめます。きっかけはアルバイト中についうっかり体の一部が

      破けてしまい、ARATAの前で空気が抜けてしまったこと。

      とっさにARATAは破れた個所をセロテープで補強し、息を吹き込み

      蘇生させたのでした。

      ARATAは前々からのぞみが人形だとわかっていたのか謎なのですが

      突然同僚が空気抜けて、補強して空気を吹き込むという判断ができるのがすごい。

      二人は結ばれ、めでたしめでたしかと思いきや、実はいい人だと思っていた

      ARATAがとんでもない要求をしてきます。

      「ねえ、もう一度空気抜いていい…?」

      空気人形にとって空気が抜けることは死に関わること。その姿を見たいということは

      首絞めやSMプレイをしたいと言っているのと同じです。

      ARATAよ…おまえもか。

      しかも上記のセリフ、ずっとのぞみに背を向けたまま言っていたのがよかったです。

      どんな顔して言ってたのかな、ARATA。

      ラブドール気質が抜けきらないのぞみはその要求も飲んでしまうのですが、

      その結果ARATAを悲劇が襲います。

      最後に空気人形が取った行動は、行き違いによる不慮の事故にも見えますが

      私は心中じゃないかと思いました。

      空気人形はずっと絶望へ向かっているように思えたからです。

      ただその絶望が、誰かに希望を与えることもある、世の中はそういう皮肉に

      溢れています。

       

      2時間くらいある映画ですが、世にも奇妙な物語のひとつを観ているような

      鑑賞後感です。

      正直なんだかよくわかんなかったというのが感想ですが、板尾創路はそんなに

      悪いことしたんだろうかという疑問が残りました。

       

       

       

       

       

       

       

       


      おおかみこどもの雨と雪

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        こんにちは、tamaxです。

         

        今日は細田守監督『おおかみこどもの雨と雪』に

        ついて書きます。

         

        あらすじ

         

        身寄りのない花は一橋大学にアルバイトをしながら

        通う苦学生。同じ講義に現れる謎の男が気になり

        声をかけると彼は部外者で素性もわからない男だった。

        花が教科書を貸したりするうちに急接近した二人は付き合うように。

        男は実はオオカミとのハーフで、人間の身体と

        オオカミの身体二つを持っていることを花に打ち明ける。

        それでも花の愛は変わらず、二人の子供「雪」と「雨」を

        儲け、アパートで貧しいながらも幸せに暮らしていた。

        ところがある日、オオカミ男が不慮の事故でオオカミの姿のまま

        死亡。幼い二人の子供(オオカミのクォーター)を抱えたまま

        花のボッチ育児がはじまった。

         

        細田守監督のことは私は全く理解できず、これまでの作品にも

        クエスチョンマークしか浮かびません。とくにこのおおかみこどもは

        一般的にも評価のあまりよくない作品ですが、なるべくいいところを

        見つけてみたいと思います。

        まず主人公の花ですが、一橋大学にアルバイトしながら通うって

        相当な頑張り屋さんですし頭もいいです。

        ですが、オオカミ男と知り合ってすぐに子供が出来たら大学を

        辞めて主婦になります。

        こういうタイプの女性は現実にいっぱいいますね。私が親だったら

        せっかくいい大学に入ったのに出来婚中退なんて恐ろしいですが

        幸い(?)花には両親や親戚などがいません。それどころか友達も

        いません。

        あとこの映画についてよく突っ込まれるのは、二人が結ばれるとき

        なぜ「あえてオオカミのまま」なのかというところです。

        これは作り手が花の清純なイメージを守るためですね。

        オオカミのままだったから避妊が出来なかった、という言い訳に

        するためです。

         

        徹頭徹尾、花のイメージを守ろうと必死な映画です。

        オオカミ男が死んだあと、花は二人の幼い子供を一人で育てていくんですが

        ただでさえ大変な状況に加え、この二人の子供はちょくちょくオオカミに

        変身し野性化してしまうオオカミこども。

        なので保育園に預けたり、行政に頼ることができず、ママ友も

        できず安アパートで孤独に子育てをします。

        オオカミ男は生前、運送会社などで働いていましたが、残された家族三人が

        いつまでも暮らせるほどの貯金があったんでしょうか。

        花は絶対に働きません。オオカミ化した子供たちがアパートを敷金内じゃ

        収まらないくらい破壊してもオロオロしながら見守るだけ。

        絶対に声を荒げたり、ヒスを起こしたりもしない、ニコニコしているだけなのです。

        当然アパートには居づらくなり、なんと花は山奥の村に引っ越し自給自足の

        生活をはじめます。

        最初はよそ者だからと相手にされませんでしたが、花の無自覚なジジ殺しの

        力が発動し、村の重鎮じいさんが助けてくれるようになり生活は軌道に乗ります。

        二人の子供たちもオオカミパワーをだいぶコントロールできるようになり

        幼稚園や小学校に通うようになります。

        ここでようやく働くかと思いきや、やっぱり働かない花。

        その後、あるきっかけでちょっとしたアルバイトをはじめますが全く家計の足しには

        ならない趣味みたいな仕事です。

         

        村の人たちから野菜やお米をもらいながら生活するんですが、親切の範疇を超えた

        「ほどこし」です。働けるのに働かず、ほどこしを受けながらでも、お母さんには

        ニコニコ笑って家にいてもらいたいのでしょうか、監督は。

        母親が社会に出ると何かが汚れるとでも思っているんでしょうか。

        花は学生の頃はあんなに朝から晩まで働いていたのに、結婚した途端に社会と断絶します。

        これは意図的としか思えない。

        これがある作り上げられた理想の女性を軸にしたホラーだと考えれば、非常に怖いです。

        花は最初っからおかしなことを言っていました。「私、いつでも笑っていたいから

        両親のお葬式でも笑っていたの」だそうです。

        実際どんなにつらい場面でもその後の花は感情を爆発させるということをしません。

        女性から感情や欲望を奪い、それを良しとする気持ち悪さ。

         

        子供たちもけして真っ当に育ったわけではなくて、最終的に長女の雪は早々に花の

        元を離れますし、心優しい男の子雨はオオカミに戻る道を選びます。

        完全に母親は捨てられているわけです。それでもニコニコ笑ってる。怖すぎです。

        美しい話みたいにまとまっていますが、本当にわけがわからなかったです。

        「オオカミ」というのを障害や人種、金銭問題などに置き換えるととてもリアルな

        現代ホラーになります。夢も能力もあった女性が、男によって社会から切り離され

        誰にも相談できない何かが子供たちにあったら、こういう破滅的な道を進んでしまう

        可能性も高いでしょう。

        花みたいな無邪気系毒親に育てられる子供たちは、雪みたいに離脱できたらまだ

        いいでしょうが、雨みたいにオオカミの道を選ぶ(広義的死)ことになって

        しまうかもしれません。

         

        結局やっぱり褒めてませんが、いいなと思ったところは人間の道を進んだのが

        小さい頃はオオカミであることを肯定的に捉えていた姉で、オオカミに戻ったのが

        「オオカミはいやだ」と言っていた繊細な弟の方だったということです。

        性格的に闘っていける姉の方が人間としてうまくやることができ、心が優しすぎる

        弟はそれができなかったということでしょうか。

         

        細田監督ごめんなさい。やっぱりわかりませんでした。

        あと私生活では奥さんを神格化しないでちゃんと育児してくださいね。

         


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