永い言い訳

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    こんにちは。tamaxです。

     

    今日は西川美和監督『永い言い訳』について書きます。

    100%…KUZUかもね!

     

    あらすじ

    人気イケメン作家である幸夫(もっくん)は、長年連れ添った妻(深津絵里)と

    二人暮らし。だが二人の間にはもう冷たい空気が流れるばかり。

    ある日、妻が親友と二人で旅行に出かけた隙に、浮気相手の黒木華を

    自宅に引き入れて不倫リンリン。

    その最中に交通事故に遭い、妻と親友の女性二人が亡くなってしまう。

    黒木華と朝イチャしているところに知らせを受け、そこから手続きやら

    葬儀やらマスコミ対応やらバタバタする幸夫。その間も涙が出るどころか

    哀しみすら感じない、完全に妻への愛を失っていた。

    黒木華もビビっちゃって逃げちゃうし、妻への後ろめたさ、そしてここ何年も

    悩みの根源であった「いい作品が書けなくなった」というジレンマで

    堕落していく。そんな中、事故の被害者説明会で妻の親友の夫である男(竹原ピストル)

    と出会う。幸夫とは対照的にめちゃくちゃ哀しみがるピストルと残された

    子供たちと交流を深めていくことになる。

     

    映画の冷めきってる夫婦にありがちなんですけど、今回もお前深津絵里相手に

    愛してないとか贅沢すぎるだろ!という話です。

    しかも浮気相手は黒木華って、ブス界の美女みたいなランクですよ。

    家に帰れば深津絵里がいるのに。

    ただ冒頭、美容師である深津絵里がこれから不倫相手に会うもっくんの散髪を

    してあげているシーンからの、黒木華登場の10分くらいの間でもうなんか

    すべてがわかる感じ。

    散髪というのは夫婦の営みというほどではないですが、充分なスキンシップだと

    思いますが、二人はなんか嫌味を言いあったり(主に言っているのはもっくん)

    まったくあたたかい空気が流れてないんですね。

    深津絵里ちゃんは学生の頃からの付き合いなようなのですが、美容師として腕がよく

    サロンの経営者でもあるやり手のようなんです。

    のっけからもっくんは「髪結いの亭主」なわけなのです。

    もっくんはなんか1、2作ヒットを出した作家で、顔と要領がいいからテレビにも

    出てタレント作家みたいな感じなんですが、内心自分には本当に表現したいもの

    芸術性というもののない凡人であることがコンプレックスなんです。

    妻はそれを指摘したりはしないのですが、妻が賢すぎ、昔から自分を知りすぎているため

    居心地が悪かったんでしょうね。

    だからなんかものすごい美人というわけでもなく、若くて物を知らず自分を尊敬してくれる

    黒木華がちょうどよかったんでしょう。

     

    もっくんはとにかく自分が大事。自分のことしか考えていないクズ野郎です。

    奥さんが死んでも世間体しか考えられず涙も出なかったのですが、その前に

    すごい男が現れます。人間で一番ゴリラに近い男、竹原ピストルです。

    ピストルは妻と一緒に亡くなった親友の女性の夫なんですが、被害者説明会で

    怒りと悲しみのあまりオレンジを投げつけます。そしてところかまわず

    吠えるように泣く。行動がゴリラです。

    ピストルには二人の子供がいて、長男は塾に通ってるくらいの秀才、妹も

    人見知りだけど可愛い保育園児。ピストルはトラックの運ちゃんだし、仕事中も

    悲しむのに忙しくて子供たちの面倒が見れないので、その役をもっくんが

    やることになります。

    子供もおらず得意でもなかったもっくんが突然のファミサポデビュー。

    自分とは住む世界の違うもっくんにも卑屈になるどころか「おまえ、いいやつ」

    とばかりに無邪気に接してくるピストルと、どこか自分に似たところのある

    インテリ肌の長男。長男はゴリラ系の実父よりもだんだんともっくんの方を

    頼りにしはじめたりもします。

     

    もっくんもすっかり家族の一員気取りで、このままずっといい関係が続くかと

    思われたのですが、ある女性が加わったことでわがままもっくんが再び炸裂。

    その女性はリアルにこれからこの家族の力になってくれそうな悪意のない人

    なのですが、自分のポジションが脅かされると感じたもっくんは鍋の席で

    暴言を吐き始めます。

    観ていてもうほんと、そういうとこだよとしか言いようがないシーンです。

    それを機に一度ピストル家族から離れ、ファミサポは終了となるのですが

    もっくんは妻を失ったことを題材にした私小説を再び執筆。

    ピストルの家族ともよい関係に戻ります。

     

    兼ねてから人間には2種類あると感じていました。

    「目覚めている人」と「原始的な人」です。

    文明社会というのは人を目覚めさせますので、目覚めれば目覚めるほど利己的になりますし

    誰かと一緒に生活したり子供を育てたりするような「煩雑でリスキーなこと」を

    回避しようとするのは当然なのです。

    もっくんは人間的には幼稚ですがインテリなので、目覚めている人です。

    だから同じく賢い妻の深津絵里との間に溝はでき、子供も作らなかったのです。

    ちょっとサンプルが強すぎですが竹原ピストルは原始的な人。

    人間である前に動物である彼らは、家庭を作り、苦労しながらも子供を育て、

    家族を失えば感情をめいっぱい表現して悲しみます。直情的なのです。

    動物的ではありますがある意味生きるという意味ではとても賢いのが

    原始的な人々なのです。生き方がシンプルなのですから。

    その証拠に、あんなに妻を亡くして哀しみに暮れていましたがしばらくしたら

    恐らく後から手を差し伸べてくれていた女性とまた家庭を作るんじゃないかなと

    思います。

    ところがピストルの息子、どこか原始的な父親に嫌悪感も抱いている男の子は

    もっくんの方にシンパシーを感じているんですね。彼も母親が亡くなったとき

    泣くことができなかった、自分は冷たい人間なのかと悩んでいます。

    もっくん同様、息子は感情がもっと複雑なんですね。

    悲しみ方の違いというのがテーマになっていると思います。

    同じく、悲しみ方の違いを描いたニコール・キッドマン主演の『ラビットホール』

    という映画があります(感想はコチラ)。

     

    もっくんと深津絵里ちゃんの夫婦はけして愛し合っていなかったわけではなかった。

    もしかしたらピストルの夫婦以上にお互いのことを深いところで理解しあって

    いたんじゃないかと思います。だけれども二人は一般的な幸せな家庭を築く道を

    選べなかった。目覚めすぎていたから。そこがとても切なく描かれていました。

    人間は目覚めるべきなのか、動物でいるべきなのか、永遠の悩みです。

     

     

     

     

     

     

     


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      • 2018.08.22 Wednesday
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      • 07:59
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