淵に立つ

0

    こんにちは、tamaxです。

     

    今回は『淵に立つ』について書きます。

    白いパディントン

     

    あらすじ

    下町の工場を営む鈴岡家。利雄(古館寛治)と妻の章江(筒井真理子)、

    10才くらいになる娘の蛍は、慎ましく平和に暮らしていた。

    ある日、八坂(浅野忠信)という男がふらりと工場に現れ、

    そのまま鈴岡家に居ついてしまった。

    八坂は利雄の古い友人で、殺人歴のある前科者であったが

    刑務所暮らしで身についた礼儀正しさや、オルガンのうまさ、

    胸毛などに章江と蛍は好感を持ち始める。

    利雄との過去に何か怪しいものを感じさせながらも、住み込みで働くうちに

    鈴岡家に馴染んでいく八坂。

    とくに章江に対しては罪を告白したり、含蓄のありそうな話を

    したりしてジュンとさせる八坂。

    そして事件は起こる。

     


    浅野忠信演じる八坂はいつも同じ白い服を着ているのですが、

    利雄が仕事する工場にふらっと現れる場面は幽霊のようでした。

    八坂は本当に利雄にとっては「忘れたい過去」からやってきた幽霊のような

    存在です。

     

    鈴岡家はもともとそんなに仲がいい家族って感じでもなくて、章江は

    プロテスタントで信心深く、娘の蛍は自分の分身のように過保護に

    育てています。

    無口で愛想のない夫利雄はそれなりに家族を大事に思ってそうですが、章江と娘が

    二人でくっついてキャピキャピしているのに入り込めない感じ。

    この家庭には娘の存在感というものがあまり感じられません。

    娘は章江の体にできた人面瘡みたいなもので、元気で可愛い女の子なのですが

    家庭にいるときは存在がお人形じみています。

    そんな娘が「個」になるのは、章江がやらせているオルガンのレッスンを

    こっそりさぼっていたシーンです。

    その瞬間に八坂が入り込むのです。

    娘と章江は一心同体ですから、娘が手なずけられたら章江は落ちたも同然。

    八坂が夜、居候している部屋で遺族に手紙とか書いていると「私も一緒に…

    いいですか」とか言ってうっとり八坂を眺めていたりするようになります。

     

    白い服を着ていつも背筋を伸ばして「もう自分は枯れました」という

    雰囲気を漂わせている八坂ですが、その白い服の下には真っ赤なTシャツを

    着こんでおり、怒りと欲望の塊でした。

    しかも川べりで休憩中にDQNカップルのブルー姦を見たことでスイッチが

    入るのが恐ろしい。

    いろいろ思慮深いこと言っておいて、章江との間にも精神的な繋がりも

    芽生えたかのように思わせといて、そんな野性的な理由で「よし、やったろ」って

    なるってなんなんですか。

    章江が自分からも誘っておいていざとなったら拒否するのは信仰心のためだとか

    女のズルさという意見もあるようですが、私はもっとインテリジェンスに

    迫ればあっさり陥落したと思いますよ。

     

    章江に拒絶されたことで八坂の矛先は娘蛍に向かい、何があったかは明かされませんが

    蛍は高次脳機能障害を負ってその後8年の月日が経ちます。

    鈴岡家はなんとか存続はしていますが、章江はますます蛍に依存し極度の潔癖症に。

    利雄も八坂を探し続けていて、夫婦はいまだ八坂の亡霊に悩まされています。

    蛍はしゃべることも動くこともできませんが、18歳になっていました。

    この子だけは、罪のない子。

    少女の頃は元気でおしゃべりでしたが、母親の人面瘡に過ぎなかった娘が

    今は自分を表現することはできないけど「個」になっていることがわかるんですよ。

    でもそれを章江は認めていないのです。母親としてすごく優しく、献身的に

    介護しているんですが前を見ていないんですね。

     

    そしてこの家族のもとに、さらなる刺客、八坂の息子が現れるのです。

    正直後半はかなり強引に持って行こうとしている感じでしたし

    蛍以外の人物には好感がもてず観ていて苦しかったです。

    でもやっぱり蛍。

    夫婦の罪の代償とまで言われ、邪魔な存在となった蛍が、最後の最後

    たった一つの希望だったのです。

    これまで一度も必死にならなかった、夫であり蛍の父親の古館寛治さんが

    絶叫するシーンは印象に残りましたね。

    筒井真理子さんのシャーリーズ・セロンもびっくりの全身全霊をかけた

    演技はすごいし、浅野忠信の存在感もヤバイが、この物語は利雄の

    物語だったんじゃないかなと思いました。

    やっぱりお前ががんばんなきゃダメなんだよ、っていう。

     

    前回パディントンを取り上げましたが、こちらはぎくしゃくしていた

    家族にパディントンという異物が混入したことでうまく回りはじめる

    ハッピーエンドでしたが、『淵に立つ』は真逆です。

    というかまあ、普通のご家庭は出所したての浅野忠信は家に招き入れないに

    越したことないです。


    スポンサーサイト

    0
      • 2018.07.11 Wednesday
      • -
      • 13:07
      • -
      • -
      • by スポンサードリンク

      コメント
      コメントする








         

      PR

      calendar

      S M T W T F S
      1234567
      891011121314
      15161718192021
      22232425262728
      293031    
      << July 2018 >>

      selected entries

      categories

      archives

      recent comment

      recommend

      links

      profile

      search this site.

      others

      mobile

      qrcode

      powered

      無料ブログ作成サービス JUGEM