セッション

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    最近後手後手です。

    今日はムキムキのハゲのおじさんとなで肩の青年が闘う

    バトル映画『セッション』について書きます。

     

    オンガクって大変なんだな。

     

    アメリカ一の音楽大学にドラム専攻で入学したアンドリュー・ニーマンは

    一人の鬼教官フレッチャーに目を留められ、彼の率いるドMバンドに

    入隊することとなる。

    トランプもびっくりの差別用語や、怒声やあらゆる物が飛んでくる

    バンドの練習に最初こそひるんだニーマンだったが、彼の才能を試し

    焚きつけるようなフィッチャーの鬼の指導に、

    家族や恋人との関係も犠牲にして練習にのめり込んでいく。

     

     

    私自身は生き馬の目を抜くような一流の世界に身を投じたことがありませんが

    フィッチャーの練習の緊張感・恐怖感たるや、ない金玉が縮み上がるかと思いましたね。

    とにかくプレッシャーがすごいんです。圧をかけられるだけかけまくる指導法。

    ちょっとでも音程を外そうものなら人格否定・家族を侮辱・暴力なんでもござれ。

    そしてお前一人のせいで集団に迷惑をかけてるんだぞ、という空気。

    練習はもちろん本番のコンクールなどのためにあるんですが、練習が辛すぎて

    本番の方が逆に楽そうでしたね。

    ニーマンはしかし潜在的にこういったしごきに適応してしまう素質を持っていました。

    それは彼の中の屈折した上昇志向です。ニーマンは父と二人暮らしなのですが

    お父さんは作家を目指していましたが国語の先生か何かに収まっている、フィッチャー側の

    世界から見たら「負け犬」ですが、息子を愛しているとてもやさしいお父さんです。

    ニーマンは父のようにはなりたくない、という気持ちと父の分までがんばりたいという

    二つの気持ちがあるんですね。

    そして芸術系の若者特有の「自分はすげーんだ」と信じていてめちゃくちゃ負けず嫌いです。

    周りをバカにしてもいます。

    フィッチャーはニーマンのドラムの才能というよりはそういう「素質」に目を付けたんだと思います。

     

    観ていて辛いな〜と思ったのは、私は実はしごきの場面ではなくニーマンが実家で

    父や親戚(?)と一緒に食卓を囲んでいるシーンでした。

    そこにはリア充っぽい従弟たちが2人いるんですが、おじさんだか誰だかわからない親戚は

    「あいつはすごいぞ、アメフトでMVPだ」とか自慢して、「お前の音楽の方はどうなんだ?」とか

    聞いてきます。ニーマンはドヤ顔で「実は大学内では有名な先生のバンドで主奏者になれそうで…」とか

    言うんですけど、音楽のことなどわからない親戚たちは「フーン。それってすごいの?」状態。

    ニーマンも負けず嫌いなんで、「2軍、3軍のチームのMVPより自分はアメリカ一の音大の中の一番のバンドで

    主奏者なんだぞ!」と言い返すんですけど「そんなことより友達はいるのか?仮にすごい音楽家に

    なれたって孤独じゃ意味ないぞ」とか言われちゃうんですよね。

    観ていて居たたまれなくなりましたね。すごくわかりすぎて。涙がにじみました。

    たとえば東京芸大の学生の卒業制作が大学買上げになるなんてことは、それはもう血のにじむような

    努力とか、才能が必要なことですが一般的に世の中の人は『王様のブランチ』に取り上げられる方が

    えーすっごーい!みたいになるじゃないですか。

    周りがそんなだもんだから、ますますニーマンはフィッチャーに妄信していきます。

     

    フィッチャーはフィッチャーで、厳しいけどブレないし、優しいときも0.コンマ1秒くらい

    あるんでこういう指導者もありかなって気はしてくるんですが、最後の方であ、この人やっぱり

    ヤバいなってわかってきます。

    フィッチャーは音楽の理想は高いのですが、自分が見出してきた天才音楽家たちに執心していて

    要は天才を作ることが目的になってしまっている、病気の状態なんですね。

    やっぱりおかしいんですよ。それはラストの展開ではっきりします。

    おかしいニーマンとおかしいフィッチャー。その醜い争いの中に、突如音楽の神様が降臨してくるんですね。

    憎み合い、復讐し合っていた二人が、同じ高みに到達しまんざらでもなくなってきて

    プロレスを観てたら選手二人がSMプレイをはじめたみたいで、こっちはもうなんだか

    よくわかんなくなってきます。勝手にせいと。

     

    ニーマンのお父さんが泣けましたね。

    お父さんはありのままの息子を愛しているし、息子が自分を追いつめているのを見つめる姿が

    本当に切なくて。このお父さんがいるんだからいいじゃなかって思うんですけど、やっぱり

    ニーマンはお父さんの世界にはもう戻ってこないのかなって気がしました。

    フィッチャーみたいな指導者、頭おかしいですけどこういう人ややり方がなかったら

    生まれてこなかった偉人は本当にたくさんいるでしょう。

    オリンピックなんてほとんどそうですよね。

    才能や偉業のために突き動かされる人たち。のんびり生きてる自分としては頭が下がるやら

    呆れるやらでした。

     

     

     

     

     

     

     

     


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      • 2017.04.14 Friday
      • -
      • 17:00
      • -
      • -
      • by スポンサードリンク

      コメント
      これも良かったですね。良かったけど観てるだけで血尿出そうになりました。むかし吹奏楽やってたので、今でもたまに舞台に上がったら自分だけ譜面が違う!とか初見の曲なのにすぐ本番だ!とかいう悪夢を見ます。この映画は私も無いキンタマが縮み上がりました。
      こんなにまでして何になるんだ、と凡人は思うんですが、おかしい天才たちにとってはもう何になるとかいう問題じゃないんだろうなと思いました。
      吹奏楽やってた方ならきつくて観ていられないでしょうね。
      私もあれを観て、吹奏楽って文化部じゃないじゃん体育会系じゃんて思いました。
      主人公の彼女、あんなかっこよくもなくてやたらプライドの高い店選びのセンスもない男に優しく付き合ってて天使そのものでしたよね。それを捨ててまであっちの世界へ…。
      • tamax
      • 2016/11/27 11:08 PM
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