天才スピヴェット

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    こんにちは、tamaxです。

     

    今回は家にあったDVDから、ジャン=ピエール・ジュネ監督

    『天才スピヴェット』について書きます。

     

    似てない者たち

     

    あらすじ

    アメリカの田舎町に家族と暮らすスピヴェットは10歳の少年。

    双子の弟と年頃の姉、農家の父と昆虫研究者の母の5人。

    父はカウボーイマニア、母は家族より虫に夢中。

    姉は芸能界を夢見るスイーツ脳。双子の弟は父の真似をして

    狩りや木登りが大好きな元気な男の子。

    そしてT.S.スピヴェット(以下スピヴェット)は物理の天才であった。

    日々実験に明け暮れ、大人のふりをして書いた論文がサイエンス誌に

    掲載されたりする本物の天才少年だったが田舎町では変わり者

    扱いされるだけだった。

    そして弟が不幸な事故により死んでしまってから

    家庭の中にも居場所を見失ったスピヴェットは、ある学会から

    大きな賞をもらったことを機に、一人でこっそり貨物列車に

    無賃乗車してワシントンを目指すことにした。

     

     

    ジュネ監督といえばパリ〜♪シャンゼリゼ〜 モンマルトール♪というイメージですが

    今回はアメリカもアメリカ、どアメリカなモンタナの田舎が舞台です。

    お父さんは身も心もどっぷりカウボーイになりきっているおじさん。

    子供なのに難しいこと言って研究ばっかりしているスピヴェットのことは

    可愛がらず、男の子らしい子供である弟を愛していた。

    弟とスピヴェットは二卵性の双子なので見た目も中身もまるで正反対。

    ただふたりはだから仲が悪いかというとそうではなく、違いながらも

    いつも一緒に遊んでいた。

    弟は猟銃で物を撃ち、その銃声をスピヴェットが記録に取るという、

    趣味が違う二人が遊んでいた方法で不幸にも弟が亡くなってしまう。

    家は光を失い、父も母も自分にかまってくれないし、姉はミーハーだし

    学校の先生からは頭が良すぎて煙たがられるしで、寂しい思いを

    していたところに、ワシントンの学会から受賞の連絡。

    スピヴェットはトランクに自分の七つ道具(鳥の骨とか)を詰め込んで

    旅に出ますが、受賞はきっかけにすぎず、家出に近い形です。

     

     

    スピヴェットは家族、とくに父親から愛されていないことを気に病んでいて

    自分が弟の代わりに死ぬべきだったとまで思っています。

    お父さんが愛用の帽子を弟にかぶせてあげたのを見たスピヴェットは

    「自分には永遠に手にできない栄光だ」と心の中で言っています。

    大人の目線で見るとちゃんとお父さんはスピヴェットのことも愛しているのが

    わかるのですが、なんせ自分は馬の乗り方とか教えてあげたいのに

    一日中グラフとか数式とかとにらめっこしている息子の接し方がわからないのです。

    お母さんもかなり変わった人で、変わったお母さんをやらせたら右に出るものなしの

    ヘレナ・ボナムカーターが演じているんですがやはり一般的な優しいママではないのです。

    そもそもカウボーイのお父さんと昆虫オタクのお母さんがどうやって結婚に

    至ったんでしょうね。

    実はお母さん自身も夫がスピヴェットを愛していないのではないか、それは

    私に似ているからで、私のことも愛していないんではないかと日記に書くくらい

    悩んでいたんですね。

    その日記を貨物列車の中で読んだスピヴェットは「そんなことないよ!愛し合ってるから

    結婚したんだろ!」とショックで叫びます。

    ところがこれも大人になると分かるんですが、夫婦ってのは他人ですから

    ときにミスマッチすることもあるんですね。

    ただ子供から見れば両親は最初からペアになってるわけですから、ミスマッチしてる

    なんて信じたくないわけです。

     

     

    貨物列車に無賃乗車の旅をしながらいろんな風変わりな人たちに出会うスピヴェット。

    時々死んだ弟の幽霊が現れ助言してくれたりもします。

    泣けるのはチビでやせっぽちのスピヴェットが、ちゃんとアドベンチャーをする

    とこです。結構ひどい負傷をしたりもするんですが、この旅で身も心もちゃんと

    成長していきます。家から持ってきて壊れてしまったコンパスや鳥の骨を捨てたりもします。

    壊れたコンパスっていうのは、役に立たなくなった知識の象徴ですね。

    途中出会うルンペンのおじさんや一見サイコキラーみたいなトラックの運ちゃんも

    いい出汁が出ています。

    そうこうしてスピヴェットは自分にふさわしい場所、受け入れてくれる場所、

    ワシントンの学会に到着するのですが、そこで待っていたのはあたたかいものでは

    ありませんでした。

    だけどそこで、冷たかった母ちゃんが、父ちゃんが、力づくでスピヴェットを

    奪い返しに来てくれるんですよー!

    私は完全にスピヴェットの気持ちになってたもんでめちゃくちゃ報われましたね。

    人は贅沢なもので「あなたがこういう人間だから」という理由でも必要とされたいし

    「あなたがどういう人間でも」必要としてくれる存在も一方で必要なんですよね。

     

     

    これを観てほんとに家族って不思議だなと思うのは、同じ親から産まれたきょうだいでも

    全く似ていないこともあって、趣味や価値観で繋がれる他人と一緒にいたほうが

    よっぽどいいようなことも往々にしてあるじゃないですか。

    親子でも自分の子供や親が全く人として理解できないってこともよくあります。

    それでも、家族には家族の、言葉や理由はいらない存在価値っていうのがあって、

    この映画では、スピヴェットの理解されない天才の苦悩というより、

    「似てない人間たちがどうやって一緒に暮らしていくか」みたいなテーマに心を揺さぶられましたね。

    劇中で、お母さんがトースターを何台も何台も壊してしまうという謎のエピソードが

    あるんですが、何台買っても必ずトースターが壊れる。でもお母さんは朝食に

    パンを焼くことをやめないんですね。何台でもトースターを買い替える。

    家族というのもそれと同じなのかなと思いました。

     

     

    他人だったら関係が壊れてしまえばどんなに気が合っててもそれまで。

    でも家族は違います。スピヴェットの家族たちは恐らくこの先も本当に彼のことを

    理解することは難しいかもしれません。

    でも、ああまたトースター壊れたか。そんな感じで家族は続いていくのです。

    ミーハーな姉もなんだかんだ言って弟を可愛がっているし、ケンカばっかり

    している両親がちゃっかりまた子供を作っているところも笑いました。

    人間の遺伝子は近親相姦を避け強い種を残すためDNAの遠いもの同士が

    惹かれるようにできているということも研究結果で出ているそうです。

    神様はあえて似てない者同士をくっつけようとしているんですね。

    一体どういうつもりなんでしょうか。

     

     

     


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