渇き。

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    久しぶりにマズい映画を観ました。

     

    水飲んで一旦おちつこう。

     

    あらすじ

    元刑事でバツイチの藤島(役所)は、優等生だった娘の加奈子(小松)が

    いなくなったと元嫁に言われ、探し始める。

    美少女で性格もいい完璧娘だった加奈子だが、中学時代のヤンキー同級生や

    現在の生意気な友達に恫喝紛いの取材をしていくと、加奈子が相当あかんやつ

    だったことがわかってくる。

    一方、加奈子がいなくなる前、いじめられっ子の少年は時々アニメになったりしながら

    優しくしてくれた加奈子に夢中になり、加奈子も受け入れてくれたかのように見えた。

    しかし、加奈子は実は鬼畜娘なのでその少年、はたまた加奈子に魅入られたすべての

    子供・大人・その他諸々を地獄に陥れていくのであった。

     

     

    流行りの要素をすべて詰め込んだような、落ち着かない映画です。

    そろそろこの邦画二文字系タイトルはやめませんかね。

    似たようなのがありすぎてどれがどれだか分からなくなります。

    そのうえ「。」までつけちゃって、モーニング娘。の時代で終わったかと

    思いました。

    中身もそうで、途中アニメーションや独白を入れたりだとか、残忍なシーンに

    ポップな音楽をつけたりだとか、アップばかりで全体を映さないインスタ手法。

    とにかくなんでもやってみたいんですね。

     

    俳優陣も豪華すぎるんです。ヒロインの小松菜奈はこれを機に有名になりましたが

    そのほかに橋本愛もいる、二階堂ふみもいる、中谷美紀もいる、國村隼も、

    オダギリジョーも、妻夫木もいる。

    この作品の駒だけであと3作くらいはできそうです。

     

    お話は無駄に複雑で、暴力団とか覚せい剤とか売春組織とか出てくると私はなぜか

    引いてくるんですけど、基本的にはシンプルです。

    加奈子が天使のような悪魔で、周りを無茶苦茶にしていた。それだけ。

    ただ加奈子をそんな風にした原因はどっちかっつーと父である役所にあったという

    感じです。

    出てくるガキがみんなもう手に負えない悪い奴ばっかりなんですが、どこの地域ですか?

    あとサイコパスが多すぎです。最近なにかっつーとサイコパスですけど、役所広司の

    元部下でいつもチュッパチャップス舐めてヘラヘラしている現役刑事の妻夫木や、

    なんかヤクザの爺さんのもとで殺し屋をやってたオダギリジョーなど、

    やばい奴が多すぎるんですね。

    とくに妻夫木。出た!窪塚系やばい奴はヘラヘラして甘いもの食べながら平気で

    残酷なことをするというプロトタイプ。

    池袋ウエストゲートパークの時代で終わったかと思っていました。

    しかも味付けが過剰なものだから、全然こわくなくてコメディみたいです。

    過剰に、過剰にやるものだからこわくないんです。

     

    せっかく「加奈子」というモンスターを際立たせたいんだろうに、周りも全部

    おかしい奴にしてるもんだから渋谷のハロウィンくらい目立たなくなってしまうんですよ。

    すぐパンパン拳銃うつし、大人も子供もグチャグチャ死にますけど、そういう

    場面よりも、最初の方でいじめられっ子の僕が学校でプールに落とされたり

    女子に「キモーい」とか言われてるシーンの方がつらかったですね。

    もし自分の子供がこんな風につらい目にあったり、あわせたりするようになったら

    どうしようという。

     

    こんな話あるわけないだろ、とずっと引いて観ていましたけど、実際渋谷のハロウィンで

    バカ騒ぎをするバカにも一人一人親がいるんだよなと思うと切なくなりますね。

    あと役所広司が三歩歩けば暴力団にボコられて血まみれの毎日なんですけど、それなのに

    いつも白やベージュのスーツを着ていて、また一からそれが汚れて、役所広司の

    行きつけのクリーニング屋は大変だなとかそんなことばかり気になる作品でした。

     

    時間がない方は特に一生観なくていいやつです。


    天才スピヴェット

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      こんにちは、tamaxです。

       

      今回は家にあったDVDから、ジャン=ピエール・ジュネ監督

      『天才スピヴェット』について書きます。

       

      似てない者たち

       

      あらすじ

      アメリカの田舎町に家族と暮らすスピヴェットは10歳の少年。

      双子の弟と年頃の姉、農家の父と昆虫研究者の母の5人。

      父はカウボーイマニア、母は家族より虫に夢中。

      姉は芸能界を夢見るスイーツ脳。双子の弟は父の真似をして

      狩りや木登りが大好きな元気な男の子。

      そしてT.S.スピヴェット(以下スピヴェット)は物理の天才であった。

      日々実験に明け暮れ、大人のふりをして書いた論文がサイエンス誌に

      掲載されたりする本物の天才少年だったが田舎町では変わり者

      扱いされるだけだった。

      そして弟が不幸な事故により死んでしまってから

      家庭の中にも居場所を見失ったスピヴェットは、ある学会から

      大きな賞をもらったことを機に、一人でこっそり貨物列車に

      無賃乗車してワシントンを目指すことにした。

       

       

      ジュネ監督といえばパリ〜♪シャンゼリゼ〜 モンマルトール♪というイメージですが

      今回はアメリカもアメリカ、どアメリカなモンタナの田舎が舞台です。

      お父さんは身も心もどっぷりカウボーイになりきっているおじさん。

      子供なのに難しいこと言って研究ばっかりしているスピヴェットのことは

      可愛がらず、男の子らしい子供である弟を愛していた。

      弟とスピヴェットは二卵性の双子なので見た目も中身もまるで正反対。

      ただふたりはだから仲が悪いかというとそうではなく、違いながらも

      いつも一緒に遊んでいた。

      弟は猟銃で物を撃ち、その銃声をスピヴェットが記録に取るという、

      趣味が違う二人が遊んでいた方法で不幸にも弟が亡くなってしまう。

      家は光を失い、父も母も自分にかまってくれないし、姉はミーハーだし

      学校の先生からは頭が良すぎて煙たがられるしで、寂しい思いを

      していたところに、ワシントンの学会から受賞の連絡。

      スピヴェットはトランクに自分の七つ道具(鳥の骨とか)を詰め込んで

      旅に出ますが、受賞はきっかけにすぎず、家出に近い形です。

       

       

      スピヴェットは家族、とくに父親から愛されていないことを気に病んでいて

      自分が弟の代わりに死ぬべきだったとまで思っています。

      お父さんが愛用の帽子を弟にかぶせてあげたのを見たスピヴェットは

      「自分には永遠に手にできない栄光だ」と心の中で言っています。

      大人の目線で見るとちゃんとお父さんはスピヴェットのことも愛しているのが

      わかるのですが、なんせ自分は馬の乗り方とか教えてあげたいのに

      一日中グラフとか数式とかとにらめっこしている息子の接し方がわからないのです。

      お母さんもかなり変わった人で、変わったお母さんをやらせたら右に出るものなしの

      ヘレナ・ボナムカーターが演じているんですがやはり一般的な優しいママではないのです。

      そもそもカウボーイのお父さんと昆虫オタクのお母さんがどうやって結婚に

      至ったんでしょうね。

      実はお母さん自身も夫がスピヴェットを愛していないのではないか、それは

      私に似ているからで、私のことも愛していないんではないかと日記に書くくらい

      悩んでいたんですね。

      その日記を貨物列車の中で読んだスピヴェットは「そんなことないよ!愛し合ってるから

      結婚したんだろ!」とショックで叫びます。

      ところがこれも大人になると分かるんですが、夫婦ってのは他人ですから

      ときにミスマッチすることもあるんですね。

      ただ子供から見れば両親は最初からペアになってるわけですから、ミスマッチしてる

      なんて信じたくないわけです。

       

       

      貨物列車に無賃乗車の旅をしながらいろんな風変わりな人たちに出会うスピヴェット。

      時々死んだ弟の幽霊が現れ助言してくれたりもします。

      泣けるのはチビでやせっぽちのスピヴェットが、ちゃんとアドベンチャーをする

      とこです。結構ひどい負傷をしたりもするんですが、この旅で身も心もちゃんと

      成長していきます。家から持ってきて壊れてしまったコンパスや鳥の骨を捨てたりもします。

      壊れたコンパスっていうのは、役に立たなくなった知識の象徴ですね。

      途中出会うルンペンのおじさんや一見サイコキラーみたいなトラックの運ちゃんも

      いい出汁が出ています。

      そうこうしてスピヴェットは自分にふさわしい場所、受け入れてくれる場所、

      ワシントンの学会に到着するのですが、そこで待っていたのはあたたかいものでは

      ありませんでした。

      だけどそこで、冷たかった母ちゃんが、父ちゃんが、力づくでスピヴェットを

      奪い返しに来てくれるんですよー!

      私は完全にスピヴェットの気持ちになってたもんでめちゃくちゃ報われましたね。

      人は贅沢なもので「あなたがこういう人間だから」という理由でも必要とされたいし

      「あなたがどういう人間でも」必要としてくれる存在も一方で必要なんですよね。

       

       

      これを観てほんとに家族って不思議だなと思うのは、同じ親から産まれたきょうだいでも

      全く似ていないこともあって、趣味や価値観で繋がれる他人と一緒にいたほうが

      よっぽどいいようなことも往々にしてあるじゃないですか。

      親子でも自分の子供や親が全く人として理解できないってこともよくあります。

      それでも、家族には家族の、言葉や理由はいらない存在価値っていうのがあって、

      この映画では、スピヴェットの理解されない天才の苦悩というより、

      「似てない人間たちがどうやって一緒に暮らしていくか」みたいなテーマに心を揺さぶられましたね。

      劇中で、お母さんがトースターを何台も何台も壊してしまうという謎のエピソードが

      あるんですが、何台買っても必ずトースターが壊れる。でもお母さんは朝食に

      パンを焼くことをやめないんですね。何台でもトースターを買い替える。

      家族というのもそれと同じなのかなと思いました。

       

       

      他人だったら関係が壊れてしまえばどんなに気が合っててもそれまで。

      でも家族は違います。スピヴェットの家族たちは恐らくこの先も本当に彼のことを

      理解することは難しいかもしれません。

      でも、ああまたトースター壊れたか。そんな感じで家族は続いていくのです。

      ミーハーな姉もなんだかんだ言って弟を可愛がっているし、ケンカばっかり

      している両親がちゃっかりまた子供を作っているところも笑いました。

      人間の遺伝子は近親相姦を避け強い種を残すためDNAの遠いもの同士が

      惹かれるようにできているということも研究結果で出ているそうです。

      神様はあえて似てない者同士をくっつけようとしているんですね。

      一体どういうつもりなんでしょうか。

       

       

       


      ナイトクローラー

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        こんにちは、tamaxです。

         

        今回はパパラッチを主役にした映画、『ナイトクローラー』に

        ついて書きます。

        目がこわい。

         

        あらすじ

        学歴もコネもないルイス(ジェイク・ギレンンホール)は、鉄くず泥棒などを

        して日々をしのぐ生活を送っていたが、ある日夜の街で事故現場に遭遇。

        その中に踏み入ってスクープ映像を撮り、テレビ局に高く売るパパラッチの

        仕事を目の当たりにし、ビビっとくる。

        すぐにカメラや警察の無線を聴くことができる機材をそろえ、見様見真似で

        自称パパラッチになる。

        最初は右も左もわからなかったルイスだったが、驚きの吸収力、工夫と努力で

        めきめきと頭角を現し、ある大手テレビ局の熟女プロデューサーのお抱え

        パパラッチにまで成り上がる。

        水を得た魚、カメラを得たルイスの成長はとどまることをしらず、次第に

        より刺激的な映像を求めエスカレートしていくのだった。

         

         

        一言でいうとヤバい人が特技を活かせる仕事に就いたらめちゃくちゃヤバく

        なっちゃったという話です。

        主演のジェイク・ギレンホールの顔がルイスという人間をそのまま表していて

        大きなグリグリした目は、勝機をけして見逃さない、暗闇の中のサーチライトの

        ような役割なんですね。

        でもその眼には、事実以外のことは映らないのです。

        もはやルイス自体が性能のいいカメラそのもの。

        たとえばルイスの行動がエスカレートしていくきっかけになるある裕福な家庭の

        強盗殺人事件。ルイスは警察よりも早く現場に到着し、あろうことか事件直後の

        家の中に(鍵が開いていたから)入っていき、(死体の映像は高く売れるから)

        被害者の姿をカメラに収めます。

        私たちの眼は、殺人事件の現場に出くわしたら恐怖を感じたり、良心が働いて撮影よりも

        人命救助とかする判断をするのが普通です。

        でのルイスの眼は同じ映像を映しても違う行動をルイスにさせるわけです。

        ジェイク・ギレンホールが他の健全な映画では、とても純粋でいい人に見えるのも

        実は同じこの眼の力なんですね。

         

        しかもルイスのすごい(質が悪い)ことには、人の心がわからないというわけでは

        ないのです。先ほどの事件現場でも、あえて見る人の感情を揺さぶるため

        家族写真の配置をわざわざ替えて撮影したりしています。

        取引相手になる熟女プロデューサーのことをWikipediaで調べて、

        その心の隙を分析して、脅迫まがいの枕営業もしたりします。

        人の心がわかってうえで、「それを物ともしない」。

        すげえ奴なのです。

        彼は自己評価はもともと高く、「オレはすごく勤勉だし覚えも早い。目標に向かって

        努力できる人間だ」となんの実績もないのに自信満々でアピールできる人だった

        んですよ。そしてその言葉に嘘はなく、本当に勤勉で物覚えもよく、刺激的な

        スクープ映像を撮るためならあらゆる努力・手段を選ばないスーパーデキる

        奴だったのです。

         

        ルイス一人のサクセスストーリーとして観たら、意外とただのエンターテイメント

        だったかもしれません。

        そうではなく、この映画を胸糞悪くしているのは、ルイスがパワハラできる

        唯一雇った部下、リックの存在です。

        リックは中東系の青年で、ルイスと同じく底辺の職を転々としてきたようで

        面接の際「庭師になったんですが花粉症だったのでやめました」というような

        感じの男です。環境や機会さえあればもっとどうにかなっていたんじゃないかと

        思わせる社会の被害者のような人物です。

        私もロスジェネど真ん中なので、すごく共感してしまったのですが、このリックが

        最後ものすごく可哀想なことになります。

        そして、それを機にルイスが本物のモンスターになったのでした。

        リックはいわば「もう一人のルイス」であり、最後の砦だったのです。

         

        彼の死が(あ!言っちゃった)ルイスの業を深めて、もうどうしても許せない奴に

        なってしまうのです。

        ところが不思議とこのルイスを演じるジェイク・ギレンホール、嫌いになれないというか

        結構好きかも。

        役としてはすごく魅力的でもあるのです。

        そして、あまりに可哀想だったリック役に同情して彼のことをWikipediaで調べたら

        この映画の出演後、世界で最も美しい顔に選ばれたり、一番新しいスターウォーズで

        重要な役どころに抜擢されたりしているらしい。よかった!

         


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