6才のボクが、大人になるまで。

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    こんにちは、tamaxです。

     

    今日は12年間を3時間に凝縮した超時短映画

    『6才の僕が、大人になるまで。』について書きます。

    この可愛い少年が、ヒゲ面になるまで。

     

    あらすじ

    6歳のメイソンは、シングルマザーの母親と姉とともに暮らす

    ごく普通の少年。男運の悪い母親に振り回され、男が変わる

    たびにあっちいったりこっちいったり。

    いいかげんだけど憎めない実父(イーサン・ホーク)とたまに

    交流したりしながら時はゆるやかに過ぎていくのだった。

     

    3時間近い映画で、イーサン・ホーク以外は特に有名な俳優も

    出ていません。そしてなんと恐ろしいことに、ヤマがないのです。

    ゆるーいヤマはありますけど、ほとんどがだらだらした日常

    風景を切り取ったものです。

    最初、これ借りたの失敗だったかなと思いましたよね。

    でも不思議と苦痛じゃないんです。なんでかというと、この

    映画はどこをとっても「思い出に似てる」んですね。

    思い出ってすごくささいな日常の切れっぱしじゃないですか。

    楽しかったこともつまんなかったことも、時系列もバラバラなまま、

    でも妙にはっきりとした切れっぱしが箱にどちゃっと入ってるみたいな。

     

    メイソンは可愛い6歳から、最終的には岡田義徳みたいな

    ヒゲ面の大学生まで成長するのですが、よくあるブラックアウトして

    「○年後」とかそういうのがないんですよ。

    カットが切り替わったら急に少しだけでかくなってるんですね。

    ※2歳くらい上のお姉ちゃんもいるんですが、藤田ニコル似で

    すっぴんの中学生くらいまではちょいブスなんですが

    パンク系のファッションになったり派手めになったりして

    最後はコンサバ系に落ち着いて結構可愛くなっていました。

     

    10分前のメイソンとはそこまでの変化はないんですけど

    30分前のメイソンとは明らかに違っていて、そしてその

    ゆるやかな移行により、もはや観ている方は30分前のメイソンを

    思い出せないんですよ。

    この監督は12年もしつこく時間をかけて表現したかったネタは

    そこなんだろうなって思いました。

    私も2歳になる息子がいるんですが、産まれてから毎日一緒にいて

    写真に撮ったり目に焼き付けてきたつもりでも、哀しいかな

    もう0歳の赤ちゃんだったころの記憶ってぼやけてきてるんですね。

    人生は別名保存できませんから、常に上書き上書きされていくんです。

    大人になるともう変更点が間違い探しみたいにちょっとしかないから

    3年前も去年も変化がわからなかったりしますが、子供って一か月で

    全然変わっちゃいますからね。

     

    母親はダメンズと結婚・離婚を繰り返してそのたびに追われるように

    引っ越しを余儀なくされ、結構つらい面もあります。

    友達の描き方もすごくよかったですね。

    まず一番最初にできた親友である近所に住む男の子がいたんですが

    例によって母親の都合で急きょ引っ越したせいで別れのあいさつも

    できませんでした。

    車の窓から、その子が自転車で追いかけてきているのが見えるのですが

    特にメイソンは引き返すわけでもなくただじっと外を見つめています。

    このシーンはその後の、無数に出現する「おともだち」を表現する

    ようでとてもよかったです。

    私も転勤族だったんで、ある日を境に「おともだち」が総入れ替えする

    体験は何度もしていますし、その場その場でいろんな人を受け入れていく

    術も身に着けました。

    映画の中で「おともだち」の扱いがすごくよくて、結構キャラの立った

    人物も出てくるんですが特にコミットせずに過ぎ去っていくんですね。

    芸術系のメイソンにとっては大学に入るまではそこまでがっちり

    趣味の合う友達は一人もいなかったんですが、自分の子供時代を

    思い返してみると、本当にいろんなタイプの友達がいて、連絡も

    取り合ってはいませんが彼らもどこかでそれぞれの人生を生きてるんだなーと

    時々想いを馳せています。

     

    そんな人生の中でももっとも変化の激しい6歳〜12歳という貴重な

    メイソンの時間をダイジェストで観させてくれるわけです。

    メイソンの変化が顕著なので、あやうく気がつかないんですが

    実は大人たちも、間違い探しのようにちょっとずつですが変化しているんですね。

    母親はダメンズ好きには変わりませんが、大学に戻って博士号をとり、

    大学教授にまでなります。

    夢見る中年だった父親も、しっかりした女性と再婚して子供をもうけ

    就職もします。でも子供たちの一番の理解者である点はずっと変わりません。

    輝かしい時代を過ぎても、人生は日々上書き更新されていく。

    でもメイソンがついに家を巣立っていくラスト直前で、母親が思わず

    口にするセリフは胸にぐさりと突き刺さりましたね。

    「あんたたちを送り出したら、あとは私の葬式だけよ!人生はもっと長いと思ってた」

     

    気がつけば、長いと思っていた3時間もあっという間に過ぎて、もう夕方。

    私の時間はどこにいったんでしょうか。

    それでも充分に観る価値のある一本です。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     


    ブラックスワン

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      こんにちは、tamaxです。

       

      今回はバレエ業界に対するネガティブキャンペーンとしか

      思えない営業妨害映画『ブラックスワン』について書きます。

      サカムケア

       

      あらすじ

      バレエ団でプリマドンナを目指すニナ(ナタリーポートマン)は

      実力と才能はあるがあと一歩脱皮できないところがあり

      苦しんでいた。それもそのはず、過保護な元バレエダンサーの

      母と暮らし、いつまでも大人になれずに甘々のままアラサーに

      なってしまったからである。

      プリマとすぐ肉体関係になるものの、有能な監督のトマスは

      それでも今度の『白鳥の湖』の演目でニナを主役に抜擢する。

      清楚で純粋な白鳥役はなんなくこなせるニナだったが、問題は

      エロくて悪い黒鳥役も演じ分けなくてはいけないこと。

      演技に悩む中、黒鳥役にぴったりの奔放なダンサー、リリーが

      代役に決まったり、母親との関係も悪化したりでどんどん

      精神がヤバい方向へ向かっていくのであった。

       

       

      ずっと優等生、いいコちゃんで育ってきたニナは美人なのですが

      恋愛経験も少なく、いつも困った顔をしています。

      ニナを妊娠したことでバレエの夢を絶った母親が、もろに

      自分の人生をニナに全部乗せしてくるわけです。

      ニナの母は結構やばくて、自室にニナの肖像画みたいな絵を

      壁中に飾っているんですね。

      イケアの女の子の子供部屋みたいなブリブリのニナの部屋には

      鍵もかからず、うかつに自慰もできません。

      こんなニナに黒鳥が演じられるか心配でしょうがない監督の

      トーマスは「宿題だ、今夜一人でしてみろ」などと言って

      ニナの官能を呼び覚まそうとします。

      真面目なニナはよーしがんばる!と本当にとりかかるんですが

      母親が気になってどうにもダメです。

      そんなときに現れたのが、ビッチを絵に描いたようなリリー。

      こいつはクスリはやるわチーズバーガーは食べるわ男遊びは

      するわでとんでもないプリマなんですがそんなに悪い奴

      でもありません。

      このリリーは黒鳥役はドはまりするんですが、そうでないときは

      普通に白いメイクをした白鳥役をやっていて、そっちは全然

      似合わないんですよ。

      そんなに悩まなくても適材適所で白鳥役はニナ、黒鳥役はリリーが

      やればそれでまるっと解決するんじゃないかと思うんですが

      ダメですかね。

       

      リリーの存在を恐れながらも惹かれてしまうニナは、ある晩

      家を抜け出してリリーと二人で出かけてしまいます。

      クラブで酒飲んでヒャッハー!というこれまた典型的な

      夜遊びで、タガが外れたニナはその日を境に徐々に開花していきます。

      それと同時に頭の調子も悪くなりはじめ、幻覚を見はじめるのです。

      ニナが病んでいく表現として、CGを使った「イタイ」シーンがたくさん

      出てきます。爪が剥がれたりとかさかむけを引っ張ったら指の

      第二関節あたりまでピリーっと剝けたりとか。

      この描写が、ホラーだ!追い詰められた精神を表している!と

      言われていますが、私はイタさと怖さでいえばサカムケアと

      ヒビケアのCMの方がよくできていると思います。

      これくらいの痛み、主婦ならみんな経験していますよね。

      主婦、別に自傷でやってるわけじゃないですからね。

      ※グロいのでモザイクをかけてみました。

      ひび割れた手できゅうりを塩もみしたり、キムチをもんだり…

      ブラックスワンどころじゃないですよ。

       

       

      病み方もちょっとまだ甘い感じがするニナでした。

      あと地味に怖かったのは女性たちではなく監督のトーマス。

      この男はニナの前にいたプリマドンナにも手を付けているのですが

      それはあくまで「商品を試すため」なんですよね。

      以前、5時に夢中!で岩井志麻子さんが話していたデリバリーヘルスの

      店長の話を思い出しました。

      デリバリーヘルスに来るくらいだから頭がヤバい子とか容姿も

      アレな子とかいっぱいいるらしいんですけど、その店長はまずは

      全員と関係を持つのだそうです。

      そこには愛情も欲望もなく、ただ「商品を検品し、扱いやすくするため」

      なんだそうです。

      やっかみでイジワルしたり、男に捨てられて逆上したりする女たちの

      方がよっぽど人間味があるように感じましたね。

       

       

       

       

       


      野のなななのか

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        こんにちは、tamaxです。

         

        今日は大林信彦監督作品『野のなななのか』について書きます。

        大いなる老害

         

        あらすじ

        北海道芦別市で雑多な古道具屋を営む元医者の老人

        鈴木光男(品川徹)は、絵を描きながら亡くなっているのを

        孫のカンナに発見される。

        その知らせを受け、方々から親戚一同が集まってきた。

        光男の死を悼むというよりは、どこかみな身勝手で気も

        そぞろな親族たち。

        しかしその中に一人、清水信子(常盤貴子)という美しい

        女性が現れたことで光男の過去、とりわけ戦時中の出来事が

        紐とかれていく。

        一体清水信子とは光男のなんだったのか。

         

         

        『この空の花』を劇場で鑑賞し、新しいアトラクションかと

        思うような映画体験に感動し、姉妹版であるこちらも

        気になっていました。

        が、ヤバさでいうとこっちの方が上かもしれません。

        『この空の花』は変でありながらもエンターテイメントとして

        一つ完成していましたが、こちらはそうとも言えないのです。

        品川徹は最初から死んでいます。

        冒頭、集まってきた親族がそれぞれ他人のセリフに食い気味に

        自分の言いたいことばかりガヤガヤ言い合うやかましい

        シーンが長回しで続きます。

        びっくりするほど苦痛です。そして現実にはこんな奴らいるわけが

        ないのですが、あの、親戚が集まった時のどうにも座りの悪い

        落ち着かない感じが非常によく出ています。

         

        一応の「物語」は、ふわふわした現実味のない品川徹の

        孫なんだかひ孫なんだかわかんない二人の若い女の子によって

        進んでいきます。

        品川徹は医者時代に雇っていた看護士の女性、常盤貴子と

        なんかしらの因縁があったようなのです。

        それがなんなのか次第に明らかになっていくのかな〜と

        思いきや、死んだはずの品川徹がこちらに向かって

        「それでは説明しましょう」と自分語りをはじめてくれます。

        もったいぶっていたわりにはいきなり謎が解けます。

        とにかくこの映画全体通して、あらゆるセオリーといったものは

        完全無視なんです。

        よく映画でもなんでも「先が読めちゃってだめだった」と言われますが

        先が読めなさすぎるのもメンタル揺さぶられるなぁと思いました。

         

         

        大林監督が昨今特に力を入れている震災と再生や、人間の生死観が

        ふんだんに盛り込まれているのですが、他がおかしすぎてそっちが

        全然頭に入ってこない不思議。

        でも観終わった後になんかやっぱり感動した、印象に残った、そういう

        映画を撮るのが天才・大林宜彦なのです。

        とくに私事ですが、昨年画家でありデザイナーだった祖父が89歳で

        亡くなったこともあり、リンクするところが多かったです。

        たとえば光男は医者を引退したあと、自宅の医院でガラクタみたいな

        日用品を所狭しと並べた雑貨屋をはじめます。

        光男の死後、そういった物をどうしようかという話になったとき

        「でもこういう物たちが震災で失われた私たちのすべてなんだもの」

        というようなセリフがあります。

        私も祖父のアトリエに遺品整理で入ると、お酒や香水の小さい

        小瓶だとか、何かのおまけでもらったようなおもちゃや土産品を

        キレイに並べて飾ってありました。

        驚いたことに天井からさがっていたモビールは、よく売っている靴下を

        吊るすためのフックを糸でつないだものでした。

        ひとつひとつは、手に取ればあっという間にゴミになってしまう

        そんなガラクタこそが、人生そのものなんだよなぁと思わざるを得ません。

         

        そして光男と、生まれ変わっても深い絆で結ばれていた清水信子という

        女性。

        祖父の葬儀のときに、泣きはらした目でお焼香に時間をかけている

        40代くらいの綺麗な女性が来ていました。

        祖父が教えていた絵の生徒さんかもしれませんし、そうではないかも

        しれません。

        そんなようなことも光男と信子の関係を見ていて思いました。

         

        とにかくめまいがするほど変な映画なので、おすすめはあまりできませんが

        やっぱり私は大林監督、すきっ!

         

         

         

         

         


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